ソロ・デビュー5周年を締め括るまっすぐな恋愛ソング!

 活動第2章をまとめた昨年4月のアルバム『きみが散る』以降、サウンド・プロデュースに西寺郷太(NONA REEVES)を迎えた“君にトロピタイナ”、自身が影響を受けたハロー!プロジェクトへのオマージュを散りばめたディスコ歌謡“いい女をよろしく”といったシングルで〈いままで見たことないゆっふぃー〉を表し、ソロ・デビュー5周年イヤーを盛り上げてきた寺嶋由芙。5か月ぶりとなるニュー・シングル“恋の大三角関係”は、一昨年の“知らない誰かに抱かれてもいい”などでタッグを組んできた藤田卓也(水樹奈々、SKE48、乃木坂46など)が作曲、“青春アミーゴ”など数多くのジャニーズ曲でも知られるzoppが作詞をそれぞれ担当した片想いソング。

寺嶋由芙 恋の大三角関係 インペリアル(2019)

 「zoppさんはとてもインパクトのある詞を書かれる方なので、今回はゆっふぃー感というよりは、zoppさん感のほうが強いかなって思います。“いい女をよろしく”の時は、作詞の児玉雨子さんとたくさんお話をして、ゆっふぃーを通して〈いい女〉を描いていただくというテーマがあったんですけど、今回はそれとは違って。〈私だけを見てよ〉っていうところは、他所に行きがちなヲタクの気を惹く感じでアイドル・寺嶋由芙と重ねられるところではあるんですけど、星座の名前(夏の第三角形)が出てきたり、織姫とか彦星とか、もうちょっとファンタジーな世界観になってますね。それに、私がいままで歌ってきた曲よりも、主人公の年代が下のような感じもあります(笑)。片想いの歌にしても、〈でもガンバルぞ!〉ってエネルギッシュなものは私の曲にあまりなく(笑)、〈そう、あの子が好きなんだよね……〉みたいなことを言って自分の内面を吐露するみたいなものが多かったですから。そういう意味ではストレートな恋愛ソングだし、すごくアイドルっぽい曲だなって」。

 カップリングに収められている“君も好きだったんだね、夏”は、ニューミュージック経由の80年代アイドル・ポップを匂わせる、まさに〈古き良き時代から来たまじめアイドル〉を謳ってきた彼女らしいナンバー。こちらの作曲はゆっふぃー作品ではお馴染みの宮野弦士、作詞はヤマモトショウとゆっふぃーの共作!

 「夏、失恋の歌、男の子目線、というのが宮野さんのデモを聴いた時からイメージとしてあって、私の中の世界観が膨らみすぎて自分で書くことになったんです。それでショウさんに助けていただいたんですけれど、流石だなと思いました。例えば、私が〈平気なふりして〉って書いていたところを〈バカなふりして〉って直してくださったんですけど、それだけで感じ方が全然変わって。強がり感がストレートじゃなくなる感じといいますか、巧いなあって。落ちサビの〈笑えるくらいに/今年も暑いよね/夏生まれの君を/追いかけた温度、覚えてる〉も、最初の3行は私が書いたそのままなんですけど、最後はショウさんが、推しをやめたヲタクたちの気持ちに重なるんじゃないかって〈追いかけた温度、覚えてる〉にしてくれたんです。あと、ショウさんは“何も言えなくて…夏”(JAYWALK、91年のヒット曲)感を入れたいってすごく言ってました(笑)」。

 過ぎ去った夏に思いを馳せながら、ちょっぴりキュンとなる“恋の大三角関係”、そして“君も好きだったんだね、夏”。またまたゆっふぃーに恋しちゃいそうです!……と、シングルも3作続いたところで、そろそろアルバムも、なんて期待しちゃうところだけど、当のゆっふぃーは最近、コピーライター養成講座に通ってるんだとか。

 「すごく楽しいですよ。コピーライターって、アイドルと同じで名刺作れば誰でもなれるんじゃない?って言われたんですけど(笑)、そんなことないですよ。講座に通ってる方には広告業界でデザイナーをしていて、でもコピーも書かなきゃとか、別の職種なんだけどその技術があったほうが良いとか、本業というより何かの仕事のために身に付けたいっていう人が多いそうだから、私もアイドル活動で活かせたらいいなと思って始めました。今回、スポット映像のキャッチ〈本気の恋は丸くなんて収まらない〉も私が考えたんです!」。

 さらに〈できる〉ようになったな、ゆっふぃー!

寺嶋由芙の近作。