バナナマン(設楽統・日村勇紀)と東京03(飯塚悟志・豊本明長・角田晃広)のコラボ・ライヴ、「HANDMADE WORKS」が6年振りに帰って来た。

バナナマン, 東京03 『handmade works 2019』 ホリプロ(2019)

バナナマン(設楽統・日村勇紀)と東京03(飯塚悟志・豊本明長・角田晃広)のコラボ・ライヴ、「HANDMADE WORKS」が6年振りに帰って来た。2019年4月に俳優座で開催、全国21カ所の映画館でライヴ・ヴューイングされて話題を呼んだ公演がソフト化される。

オープニングを飾るコント「中心人物-写真-」は、メンバー5人がステージに勢揃い。舞台の立ち位置をめぐるやりとりが加熱していく。身につけている衣装以外、小道具は一切使わないシンプルな演出ながら、それぞれのキャラが浮かび上がるオープニングにはもってこいの内容だ。

続く「祝儀袋」は大物演歌歌手と4人の付き人たちの話で、日村が演じる演歌歌手が大暴れ。強烈なキャラクターを作り上げる日村のキャラ力が全開で、得意の顔芸や暑苦しい歌声も披露する。演歌歌手の歌をネタにした角田の一人舞台「ベラルーシの女」を挟んで「タカちゃんとバンと3人」は、「祝儀袋」の軸になった上下関係の面白さにひとヒネリ加えたコントだ。謎めいたVIP、タカ(設楽)に頼まれて、ハクビシンを捕まえにきたタカの友人、バン(日村)と3人の仲間たち(東京03)。ずっと上から目線のタカと言われっぱなしの3人組の間で、あたふたしながらタカに憧れ続けるバンの負け犬ぶりが可笑しい。「暇だな」では5人が横一列になって無駄話を始めるが、それが壮大なSFになっていくという意表を突いた展開だ。

そして、クライマックスは、しっかりと美術や小道具を揃えて挑んだ「マジック家族」。病気になったマジシャン(日村)の家に呼ばれた弁護士(飯塚)とマジシャンの息子(角田)が中心になって物語が展開。本公演ではツッコミ隊長として活躍する飯塚が、次々と繰り出されるアクシデントに翻弄される。ストーリーはしっかりと練られていて、一本のお芝居を見ているような充実感があるコントだ。そして、締めくくりは、「中心人物-写真-」のリフレインともいえる「中心人物-何食べる-」。5人がくだらないことでモメるだけの話だが、食後のコーヒーみたいな軽やかさが良い。

「ベラルーシの女」以外、すべてのコントに5人全員が参加。息が合ったアンサンブルを見せてくれて、全員が心から舞台を楽しんでいる空気が伝わってくる。バナナマンと東京03はともに演技力の高さに定評があり演者としての魅力も発揮。洗練されたネタと安定した演技で楽しませてくれる本作は、上質のエンターテイメント作品に仕上がっている。「暇だな」の番外編的な「アベスター」を含む特典映像も必見だ。