Q・ティップの制作総指揮も話題の5作目。Qが関わった3曲の高い完成度もさることながら、フライング・ロータス、ブラッド・オレンジ、ラン・ザ・ジュエルズ、ジェイペグマフィアなど、界隈でネームヴァリューがある面々の手堅い楽曲が集まったウェルメイドな良作と言える。そんな曲たちの上でも曲者フロウを撒き散らすダニーの振る舞いは流石。前作から3年の間に自身のトーク番組を持つなど活躍の幅を広げるなかで、かつての詞に漂っていた死や鬱やドラッギーな視点は後退したようだが、表題の〈言ってることわかる?〉に深くは頷けない本邦リスナーにとってはあまり関係ない話かも。何より、子どもっぽさと老熟が同居したようなクセの強い声は相変わらずだし、その声こそ彼だけのチャームにして最大の魅力だろう。