チルウェイヴなど後のインディーの流れに先駆けた前作『Since I Left You』から実に16年ぶり、オーストラリア出身の電子音楽集団が2枚目となるアルバムを発表した。彼らの特徴と言えば、数多くのサンプリングで構成された折衷的なサウンドだが、それはここでも健在。とりわけファンク、ソウル、ディスコ、ヒップホップといった要素が際立ち、まるで万華鏡のようにさまざまな音色が煌びやかに乱反射している。固定観念や常識といった枷を軽やかに外していくその姿は、音楽に対する深い愛情と造詣で満ち溢れ、自由を謳歌しているようにも見えよう。前作との大きな違いは〈声〉がより前面に出ている点か。ダニー・ブラウントロ・イ・モワら後輩アーティストから、マーキュリー・レヴジョナサン・ドナヒューといったヴェテランまで、多くのゲストが歌やラップで華を添えていく。グループの帰還を告げる盛大な祝砲として、あまりにも完璧すぎる傑作だ。