RYUTist『きっと、はじまりの季節』彼女たちの新たな船出――KIRINJI弓木英梨乃が書き下ろしたニュー・シングル

2019.11.22

柳都(新潟市)の古町を拠点とする4人組アイドル、RYUTist。℃-want you!が手掛けたガール・ポップ“Majimeに恋して”以来3か月ぶりにニュー・シングル『きっと、はじまりの季節』が届けられた。キュートさを押し出した前曲とは打って変わって、活動8周年を迎えたシングルということもあってか、表題曲は〈ちょっと背伸びした大人なRYUTist〉な印象。作詞作曲は、KIRINJIのメンバーでもある弓木英梨乃。4人の新たな一歩を祝うように〈新しい〉という言葉を繰り返し強調する詞と、涼しい風が吹き抜けるように爽やかなメロディーが感動的だ。弦やピアノ(特に、最初のサビ前の華麗なグリッサンドといったら!)を基調とした編曲はsugarbeansが担当している。〈正統派J-Pop〉と呼びたくなる楽曲の仕上がりに負けじと五十嵐夢羽、宇野友恵、横山実郁、佐藤乃々子の4人も心を込めた名唱を聴かせてくれる。

仲村あすか

 


リリカルなピアノ、柔らかな音色のギター、優しく寄り添うストリングス……まるで物語の登場人物が1人、2人と舞台に現れるかのように音が重なり合い、アンサンブルを奏でる。イントロの20数秒だけで描かれるドラマ。ドラムのビートからは、RYUTistの4人が新しい季節へ漕ぎ出そうと、一歩一歩しっかりと大地を踏みしめて進んでいく姿が浮かび上がる。〈海〉や〈風〉に紐づいた言葉たちは、日本海から新潟古町へと吹き込む潮風を想像させる。変化が訪れるのは3度目のサビ。2度繰り返された〈はじまりの季節〉が、〈おわりの季節〉に変わる。そう、〈おわり〉はまた、〈はじまり〉でもある。弓木英梨乃(KIRINJI)が書き下ろした“きっと、はじまりの季節”は、活動8周年を迎えて次のページをめくろうとしているRYUTistへの、とびっきりの贈り物のよう。弓木がシナリオ作家なら、編曲のsugarbeansは見事な演出家だろうか。

さらに、〈このシングル、すごい〉と思ったのは、カップリングの2曲があるから。80sディスコ調のきらびやかな“Never let me back”(作詞はPENGUIN DISCの代表・南波一海、作曲は東新レゾナント)と℃-want you!(Magic, Drums & Love)の代表曲を切なげにカヴァーした“愛のナンバー”、どちらも本当にすばらしい。アイドルの世界には〈楽曲派〉という言葉があるが、彼女たちこそが真の楽曲派だろう(楽曲派アイドルだからこその悩みもあるようだが……)。

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