――それでは本編のネタについて、ポイントや苦労したお話などを教えてください。

01. secondary man

設楽「このネタが一番最後までどうしようかって言っていたネタかもしれないです。最初これじゃなかったんですよ、これじゃなかったと言うか、これもあったし違うのもあって、で、結局これにしたんですけど。だから、結構最後に出来上がったのがこれかもしれないです。細かいところはいろいろあるんですけど」

――それは、オープニングのネタとしてはこういうのが良いという意識があったからでしょうか?

設楽「そうですね。ま、だいたいオープニングとかはいつも最後になっちゃうんですけど。でも、これはそうですね、そんな感じで遅かったかもしれないです。遅かったからなのか……。これは日村さんが、2日目?」

日村「2日目。に忘れちゃったんですよ、ネタが飛んじゃって」

設楽「んふふふふ(笑)」

日村「もう初めてだったんだけど、舞台をはけたんです。裏にはけて、台本を見に行かないともうこれは何も思い出せないってなって」

設楽「そう、初めてじゃないですかね、完全に舞台からいなくなっちゃったってのは。ま、ネタ忘れて2人で舞台上でなんだっけみたいなのは過去ありますけど。1日目は普通にやっていたんですよ、で、練習中も別にそこ忘れるようなところじゃなかったんですけど、2日目始まって本当、1分くらいかね?」

日村「うん」

設楽「こっちでしゃべってこっち行って、ちょっとしゃべったくらいのところだよね」

日村「うん」

設楽「そしたら日村さんが、〈ちょっと待ってろ!〉って言って。〈え?〉って。そんなセリフ無いから、あ、異常事態だなって(笑)。〈ちょっと待ってろ!〉って言って、バーッって舞台袖にはけて行っちゃったんですよ」

日村「はっはっはっはっ」

設楽「で、一人残されて(笑)。ま、忘れたんだなとは思ったんですけど、〈うわ、こんなの初めてだな〉って思って。俺は椅子に座って始まるネタなんで、座っている状態で、でもやっぱりああいう舞台上で一人で残されてネタ中にいなくなる想定では無いから、めちゃめちゃ長く感じるんですよ」

日村「いやもうあれは本当にね」

設楽「でも時間的には1分もいなくなってないよね」

日村「うん、1分は無いと思うけど。全然戻れなくて、もっとすぐ戻れると思ってたんだけど」

設楽「いや俺もすぐ戻ってくるかなって思ってたんだけど、3~4コト言ったもんね」

日村「〈まだー?〉〈どうしたー?〉とかってね」

設楽「そうそう、〈おい、何ビビってんだよ~〉みたいなね(笑)」

日村「そうそうそう(笑)」

設楽「マフィアっぽい役の設定だったんで。それを3~4個くらい言ったけど出てこないなー、ヤバイな~と思って」

日村「そうだよね」

――その間、日村さんは裏でどういった状態だったのですか?

日村「とにかくセリフを思い出したくて。台本を束でバッと一応舞台袖にもしもの時用に置いてあるんですけど、でもこれは本当に着替えの時とかにもし気になる所があった時に確認しようとか最終手段で置いてあるものなので、そんな見ることも無いんですけど、一応置いておこうってやっていて、で、実際忘れちゃったんではけて台本見たいんだけど、台本がまず見つからなかったんですよ(笑)」

設楽「はははははは。まず置いてあるんですけど、見に行くってあんま無いし」

日村「そう、見ることが無いから」

設楽「しかも、開始1分くらいだから、裏にいるスタッフも来るって思ってないですからね(笑)」

日村「スタッフのメンバーも次の衣装の段取りとかをやってくれていたので、そこにたまたま人がいなかったんですよ、だから俺がバーッて走って戻って、しばらくして、〈え? なんでいるの?〉みたいになって(笑)」

設楽「俺ら一人一人に衣装担当がついてくれているから、だいたいその人達がそういうのも管理では無いけどしてくれていて」

日村「うん」

設楽「だからあれとおんなじだよね、映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1が終わってさ、2がさ、いきなり1の終わりに送り出したらすぐ来ちゃうみたいな(笑)。今もうオープニングで行くわってバーッて行って、よし送り出したと思って次の着替えをザーッてやり出してる時に結構すぐにまたいて、〈あれ(笑)? 今出ていきませんでした?〉ってね(笑)」

日村「ほんと、バタバタしてる時に、みんなに〈どうしたの? どうしたの?〉って言われて、〈ごめんごめん、台本台本!〉って言って、台本バーッてめくって。でも自分が忘れてるとこのページがどこかがわからないから(笑)。ずっと台本めくって〈えーっとえーっとえーっと〉って言っていて」

設楽「これこわいよな~(笑)」

日村「最初のページくらいなんですけど焦ってるから何枚もめくったりとかしていて。そうしてる時に設楽さんが〈どーした~?〉とかって言うから(笑)。もうそれがあの時は1分以上に感じて、僕はヤッバイ、これは〈やってまった~〉っと思って」

設楽「〈やってまった~〉って(笑)」

一同「(笑)」

日村「やっちまった~って思って(笑)。で、〈あ! ここだぁ!〉って思って台本見てバーッて戻って」

設楽「これがやり出したての若手とかの時だったら俺も一緒に引き込まれてパニくって、なんかイライラしたりしていたかもしれないですけど、なんか、割と冷静というか(笑)。忘れてる~って思いながら、だからそういう余裕はこの長年やってたからまだ大丈夫だったのかなって」

日村「あぁそう(笑)。いやー(笑)」

設楽「いや焦るよ! そりゃ焦ったけど、まぁまぁ忘れたなぁと思って(笑)」

日村「焦ったと思うんだよね俺。これが戻ってすぐ俺がビンタされるシーンがその後すぐくるんですよ、それがあったからすごい救われたというか。そこ無茶苦茶ウケるとことなんですよ」

設楽「戻って来てひとこと言ってパーン!みたいなね。だからその時はちょっと強めにいっときましたよね(笑)」

一同「(笑)」

日村「あははははは!」

設楽「でもやっぱ観に来た人とかはその時しか観てないし、わかんないんですよね意外と。失敗したって言ったから失敗したんだなってわかると思うんですけど。それまではああいうものなのかなみたいな。ただ、戻ったわりには何かを持ってくるとか何かするとかじゃないから、変だなーみたいなのは感じる人はいたかもしれないですね」

日村「絶対あるよ、何も無いから」

設楽「でもまぁ、そんなのは1日だけで、その後は無事にできてね」

日村「無事にできたねぇ」

設楽「だからやっぱり、年々日村さんがどんどん、本当のダメなオジサンになってると言うか(笑)。覚えが悪くなるのはこれはみんな、しょうがないと思うんですけど。だから、もっと練習しなきゃダメだなーってのは思いましたよね」

日村「うん、うん」

――ご自宅で練習もされるんですか?

日村「もちろんもちろん。この間はずっと空いてる時とか、ふとした時とかブツブツ頭の中で絶対言ってましたね」

設楽「このネタは練習でも一回も別に忘れたりしてなくて」

日村「うん、忘れることなく」

設楽「他のネタでもっと忘れそうなヤツとか難しいネタがいっぱいあるんですよ。ただね、実際これは構造的に日村さん難しいネタなんですよ。俺が動かないで日村さんを動かして、俺がポンって一言言ったら日村さんがワーッて言って、また俺が一言言ってまた動くみたいな構造だから、たしかに難しいです。同じようなことを言うし俺は。だから間違えやすいってのはあったかもしれない」

日村「なんか忘れた時も、設楽さんからポンって言われて、俺がワーッて言ってツッコんで、そのあと俺が一個パス出すんですけど、このパスが出なくて、あれなんだっけってなって、絶対これ俺の番だって思ったけどわかんないってなってね」

設楽「でもそれが早かったよね。もうセリフ言い終わったあとすぐに〈ちょっと待ってろー!〉って言ったからね(笑)」

日村「あきらめが早かった(笑)」

設楽「そうそうそう(笑)。その前になんかヨレたのかもしれないねちょっと。だから、俺が何かを言ってなかったりとかもあるかもしれないし。ミスする時って一人だけのミスじゃない時が多いんですよ、通常のセリフとちょっと違う言い回しだったりとかすると、相手が〈あれ? いつもとちょっと違う〉って思って考えるんですよ、そうすると自分の番のセリフをちょっと間違えたりとかも。だから結構そこにいくまでに何かがあったりすることが多いんで、もしかしたらその前にもちょっと何かあったのかもしれないですね」

日村「うーん。でもあの時、終わった後さ、〈あそこまで完璧だったよね〉って2人で言ってたよね(笑)」

設楽「うん、そうそうそう(笑)。言ってた言ってた(笑)! このネタが終わったらオープニングVTRで着替えなんですけど、バッと着替えに行って、〈どうしたどうした?〉ってなって、〈でも、あそこの前まで完璧だったよね、ミスってないよね!〉って言ってたね(笑)」

日村「後にも先にもあの回のあそこまでが一番良いぐらいに良かったのに、なのに忘れちゃって。俺、大声出して忘れちゃったのかな」

設楽「大声出すと飛ぶもんね(笑)」

日村「そんななんですよね」

設楽「だから練習不足なんじゃない(笑)。もっと大声で本番のテンションでやっておけばよかったね(笑)」

日村「そうだねー」

 

02. surprise進行中

設楽「このネタは、割と懐かしパターンと言うかね、よく、あのラ・ママなんかでやっていた時のネタの作り方に近いよね」

日村「うん」

設楽「設定決めてそこにハメ込むと言うか。でもまぁ、やっていてどんどん楽しくなるようなネタかもしれないですねこれは」

――観ている側としては、だんだんと見えてくる狂気感や怖さがクセになるネタだと感じました。

設楽「そうですよね、これは簡単ぽいけど割とね、難しいですよね。でもそのテクニックとか言葉のチョイスとかがね、やっていておもしろいですよね」

日村「うんうん」

設楽「これがウケるといい感じなんだよね」

日村「そうそう。こういうネタがウケるとね。一番良いよね」

――このネタの結末がわかってからもう一度見ると、設楽さんの表情とかセリフまわしとかさらにおもしろく感じます。

設楽「そうですよね、たしかに。何回か見るとね。いろいろ言ってるんですよね、始まりから〈本当に来るんだ~〉とか俺わけわかんないこと言ってますね」

日村「んふふふふふ」

設楽「あとこれ、日村さんが本当に閉所恐怖症なんで」

日村「本当です」

――えっ! 箱の中に……。

設楽「だから、あの箱も、裏側抜いておかないと本当に閉所恐怖症だからヤバイってね(笑)。ま、あと本当に鍵閉めちゃうから面倒くさいってのもあって裏抜いておこうってね」

日村「うん」

設楽「だから観てる人に裏側のこと言っちゃあまり良くないけど(笑)」

日村「はははははは(笑)」

設楽「日村さんこんな本当に閉じ込められるとかなんて絶対ダメだもんね」

日村「あー無理だね。この最後の箱くらいのレベルのなんて絶対無理だね」

設楽「だから最初どうしようかなと思って、ネタ作る時に聞きましたもん。〈日村さんこれくらいの箱いける? 数分くらい入ってるの〉って。本当に箱に入るから、発狂とかしちゃったり〈ダメだ!〉って出てきちゃったらヤバイからね(笑)」

日村「あはははははは(笑)」

設楽「最初聞いたよねぇ。そしたら、〈まぁ、これくらいだったらいけるかも〉って言ってね。そういう話はしましたよね」

日村「そうねー」

設楽「でもこういうのって本番まで実物がわからないからね」

――実際大丈夫でした?

日村「これは裏抜けてるんで全然大丈夫でしたね。でも春に東京03とやった〈handmade works〉の時に入った箱あるでしょ」

設楽「あれの方がでかいけどね(笑)。マジックのね」

日村「あれ俺ギリギリまで顔出してたからね。ずっと中で待機しているんですけど。やっぱりちょっとウッてなるんですよね」

設楽「あぁ、そう。あれダメ? 結構デカかったけどね」

日村「ぶっちゃけ怖くて」

設楽「だから、いろいろできないことがいっぱいあるんですよ(笑)。日村さんに確認しないとできないことがね(笑)。でもまぁおもしろかったよね」

 

03. scrambled

設楽「この辺からが、もう今回怒涛なんですよ。これ2個目のネタが終わってからもう気付くとラスネタみたいな感じくらいのね」

日村「うんうん」

設楽「すごいんですよね」

――瞬間で入れ替わるコントは、前回のラスネタでもやられていてそれを上回っているようなイメージだったと感じました。

設楽「またちょっと毛色は違うんですけど。あと俺ら一人二役とかは割と結構やってはいるんですけど」

日村「やってるもんねー」

設楽「でもそれ系ですよね、ラスネタとかでやるような。で、あとこれは人の役もそうなんですけど、物が入れ替わるってのが、これがやっぱり日村さんが本当最初ね(笑)」

日村「パニクったねー」

設楽「もう全然わかんないできないできないって言ってね(笑)」

日村「あはははははは」

設楽「大丈夫だから日村さん、これがこれでって説明してね。このネタ作っていてよくよく考えたら、俺が意外とその物の入れ替えをやってないんですよ。構造的に日村さんの役が変わった人が持っていくって、だから日村さんが間違えるとストーリーが繋がらなくなっちゃうからね」

日村「そうそう間違えるとヤバイっていう。ね」

設楽「だから、稽古の最初の最初の頃はね。台本読んだあと立って動いていくと覚えてくるんですけど、最初の頃は本当に、ね?」

日村「超間違える」

設楽「もう、できなくて、日村さんが超イライラして(笑)」

日村「本当~(笑)?」

設楽「でもこれはじきにできるってのはわかっていたから(笑)」

――では稽古も結構時間がかかったのですか?

設楽「でもね、意外とシンプルなんですよね。だから覚えちゃえばもうなんてことないんですけど、最初の頃はパニックになるんですよね。小道具の紙袋を渡されても中身がわからないから、それもスタッフに渡してもらってね、行く時に、〈ピストル!? これピストル!?〉みたいにすごい大きな声で確認してね(笑)。っていう感じでやってましたね」

日村「はっはっはっはっ。わっかんなくなるんだよね(笑)」

設楽「でもこれは最初はしょうがないんですよ。覚えちゃえば大丈夫」

――移動もすごいのですが稽古場ではどうやって練習していたのですか?

設楽「本番前のゲネプロというか、そういうので初めて本番のところで動きをやるから、稽古場では距離を測って稽古をしてきたんですけど、実際の本番の時は暗いし、なんか意外と思っていたよりも狭いなとか、だからセットとかも結構ギリギリまで直したりとかして。セットも頼んでいた椅子がすげぇ低いとかあってね、〈なんでこういうことになるんだよ~〉みたいな、〈あと一日しか無いよ~〉とか言いながらちょっといろいろやってましたね(笑)。意外と手作りでやってるからなかなか大変なんですよね」

日村「うん」

設楽「俺らにしてはセット大がかりだもんねコレ」

――日村さんは3役でしたが役の切り替えは大変でしたか?

日村「え? これ3役だったっけ、そっかそっか。うーん、どうなんですかね。うーん、でもそんなに。やっぱりそこがおもしろいっていうネタだからね、そんなに難しいと言うか、そこまで丸々変わるわけではないから。でも最初は舞台をはけた後に、〈なんだっけ?〉ってのはなりましたね。〈あれ、次ってどういう展開なんだっけ?〉っていう。だから、展開が頭に入っちゃうと意外と大丈夫なんですよね」

設楽「でも動きがすごいあるから、このネタからもうビショビショになるし、すげぇ息が切れちゃうんですよね」

 

04. searching for the superactive

――これもお二人の途切れないハイテンションが続く内容でした。

設楽「こういうのも昔なんとなくやったことのあるようなネタがあるんですけど、その2人のキャラクターが出てくるみたいな感じで。これなんか、2つのネタをくっつけて作るっていうネタの作り方というか、謎解きのネタとテンション高いやつのネタをくっつけたみたいな感じですね。やるんですよ、たまにそういうやり方の、別々で作ったネタをくっつけちゃうっていう。今回観た人からは、これは不思議な感じだというか、漫才みたいだとかいろいろ言われましたね」

日村「うん」

設楽「たしかに意外と今までではあんまり無い感じかもしれないですね、カタチ的に。でも、このネタがまぁ疲れるんですよね」

――観ている側はずっと楽しかったです。

設楽「俺、初めて舞台袖にいって酸素のやつ吸いましたもん。今までアレやったことなかったけど。その前からずーっとやってるから、苦しくなっちゃったんですよね。でもやっていたら楽しいネタだけどね」

日村「うん」

――日村さんのパンツがちょっと気になりました(笑)。

日村「あれは番組の『(バナナマンの)ドライブスリー』で買ったやつで、自前でしたねー。でもやっぱりこの辺りが一番疲れてくるところと言うか、本当にもう汗が止まらなくて。でも俺、裸になれるからちょっと、気持ち良いというかね(笑)」

設楽「日村さん、今回って結構ネタ終わりが裸で終わるっていうのが多くて、着替えるのがラクなんだよね(笑)」

日村「多いね、無茶苦茶ラクで(笑)」

設楽「3個くらい素っ裸で終わるんじゃなかった(笑)?」

日村「そう!」

設楽「だから次への着替えがラクなんだよね」

日村「ラク。でも新鮮じゃ無くなってくるよね、もう裸が続くと。最後の方また裸になってるから(笑)」

設楽「たしかに(笑)。これ、ネタって1個1個作ってるから。で、全部やった時に、〈あれ、これまた裸になってるの?〉っていうのに気付くのは一番最後なんだよね(笑)」

一同「(笑)」

設楽「そうだよね。だって2個目のオムツのネタなんて、客前で裸になってるんだもんね」

日村「あれは完全に箱の中で着替えてたから、素っ裸にね」

設楽「だから、そういう楽しさもあったよね(笑)」

日村「こんなところで出してるっていうね」

設楽「それはお客さんも一緒に楽しめればな~ってのはありましたね。空間的に」

 

05. scarlet

設楽「赤えんぴつですね」

――今回はタイトルをあえて「赤えんぴつ」にしていなかったようですね。

設楽「今回はSで始まるタイトルにするっていうしばりをつけたのでね。赤えんぴつは〈赤えんぴつ〉でも良いかなーとも思ったんですけど、一応僕らタイトルメニューを会場のお客さんたちに紙で渡しているので。本当はバレない方が楽しい、けどある程度は予備知識とかでなんとなく、後で話したりできるようにそれぞれのタイトルを付けているんですけど。だから、基本的にはわかりづらいタイトルにしてるんですよね」

――ネタバレしないように。

設楽「そうそう。で、今回はSしばりっていうのもあったので〈scarlet〉にしました」

――赤えんぴつが毎回ライブを総括するような内容になっているようですね。

設楽「そうですね。一番最後に作るネタが赤えんぴつなので、その2人がしゃべって歌うってところは毎回テーマに沿っているものですね。今回もそうですけど」

――日村さん、今回ギターはどうでしたか?

日村「ギターのマイクが壊れて。だからピンマイク付けてやってたんですよね。で、後に番組ロケでトータス松本さんが観に来てくれてたんですけど、〈ギターの音が全然鳴ってないよ〉って言われて(笑)。これ、以前設楽さんからも言われていて。鳴ってないよとは言わないけど、音汚いよねって言われていて(笑)。でももうそれは俺のテクニックだなとは思ったけど」

設楽「まぁ、テクニックも一番でしょうけど、ギターのメンテナンスもやっぱりある程度あるみたいで」

日村「これ、DVD収録の時はわからないけど、歌いながらも〈これコード合ってんのかな?〉みたいな、コードというかチューニングがズレてんじゃないかって時がありましたね(笑)。はははははは(笑)。なんか汚いな音みたいな(笑)。いや一応合わせてるんですけどね」

設楽「まぁまぁ、キレイな音も良いんですけど。でも今回あんま音良くなかったよね、あれのマイクじゃないから。ギターの中に埋め込まれてる何かの接触が悪いのか、本番ギリギリで、ノイズがなんかザーンッって弾くと接触不良みたいな電気の音が入ってすごかったんだよね」

日村「そうそう」

設楽「あれ、なんかうるさくねぇ?って言って。でも、もう修理出したからね」

日村「そう、出した。ロケの流れで出させてもらって、すごい良くしてもらった」

設楽「その、トータスさんとか布袋さんとか名だたるアーティストがギターのメンテナンスやる所にね。そういうのをやっている人たちが俺らのライブが好きで観に来てくれていて、その人も観に来た時に、〈ギターが鳴ってない〉って言っていてね(笑)」

日村「鳴ってねぇなーってね(笑)」

設楽「だから、ライブ前に言ってくれたら行きますって言ってくれてね。普通にトップアーティストとかのツアーに行くような人なんですけど、やりに行きますって言ってくれたからね(笑)」

日村「そうそう(笑)」

――プロの方からの楽曲提供だったり楽器メンテナンスだったり、赤えんぴつへの皆さんからの思い入れが熱いですね(笑)。

設楽「そうそうそう(笑)。そうですね(笑)」

日村「ふっふっふっふっ(笑)」

――今後も乞うご期待ということで(笑)。

設楽「そうですね(笑)」

 

06. something to say

設楽「ラスネタは、毎度毎度ちょっとこうほっこりする感じなんですけどね。さっき、家で練習するっていう話あったじゃないですか」

――はい。

設楽「これ、日村さんが手紙を読む結婚式の挨拶をするシーンがあるんですけど、それを日村さんが家ですごい練習していたみたいで。朝早く起きて、朝ドラ見てから練習するんだっけ?」

日村「そう。朝やってた」

設楽「だから、何時くらい? 朝9時くらい?」

日村「うん、だいたい8時とか9時とかそれくらいに」

設楽「それくらいの時間に練習して、家で大号泣してたんだって(笑)」

日村「あはははははは(笑)」

設楽「何回もやって何回も泣いてるって話を途中で聞いて、超笑っちゃった(笑)」

日村「なんか、朝ってそういう風になってるのかな」

設楽「はははははは(笑)」

日村「僕、朝ドラ見ていても、泣くような話じゃないところでも泣いてたりするんですよ(笑)。朝、特に泣くんですよ。だからかわかんないけど、練習していて異常に涙が出てきて、特にネタの最後のところとか」

設楽「これでも実際公演中も泣いてたよね?」

日村「うん、ほぼ泣いてると思う。なんか、バーッて出てくるんだよね」

設楽「だから俺すげぇなって思って。この人ついにそういう人になったというか(笑)」

日村「そういう人って(笑)」

設楽「いや、ちゃんと役を演じながら役の中で、コントとは言え、涙を流すっていう。でもその時、ビショビショだから、涙か汗かちょっと映像じゃわかりづらいんですけど(笑)。でも本当に泣いてやってんだよね」

日村「うん、そうそう。なんだろね」

設楽「だから、このネタは、男の哀愁というか、オジサンの哀愁というか、兄貴の哀愁というかね。すごい良い感じでできたよね」

日村「うん」

設楽「で、最後の曲も良くてね、奇妙礼太郎さんの。天才バンドね」

――曲が「ビューティフルグッバイ」というタイトルもこのネタにすごいマッチしていて。

設楽「そうそうそう。使わせてもらってね。すごい、やっていてもね、いいよね」

日村「うん。んふふふふふ。いいよね」

――ラジオファンが喜ぶようなネタも盛り込まれつつ。

設楽「そうですね、ラジオで盛り上がったワードで、俺らの中でもホットだったからだろうね。そういうの散りばめたりもしてね」

日村「うんうんうん」

――今回、Blu-ray&DVDの盤の部分のイラストがかわいいですね。

日村「あ、かわいい」

設楽「うん、これ俺が描いたやつですね。今回のライブTシャツも作ったりしてね」

――今回、幕間の映像で久しぶりに実験系の映像がありました。

設楽「あぁ、オオカミのオシッコはネタ中にも出てくるんですけどね」

――臭そうですよね。

日村「これは本当にヤバイですよ」

設楽「これは臭いなんてもんじゃないですよ」

日村「これ以上俺は嗅いだことない」

設楽「今あるの?」

スタッフ「あります!」

一同「(ざわつき…)」

設楽「でもこれ、部屋が臭くなっちゃうんですよねー」

(ジップ袋に入れられたオオカミのオシッコが目の前に置かれる)

設楽「でもみんなコレ嗅ぎたいでしょ(笑)?」

――(恐る恐る嗅ぎ…)クサッ!

(日村さんも嗅ぐ)

日村「わっ、クッサ!」

一同「(笑)」

設楽「これ、本来はアウトドアで本当に熊よけで使う物なんですよね。それを、番組の『日村がゆく』とかで使ったりしてね。そこからそれを使おうってなってね。ただ、これよりも、TOKYO FMの人の靴下がヤバくて(笑)」

日村「はははははは」

設楽「もう本当にすごくて、これ撮影してる時とかも臭いけどみんな嗅ぎたくなるから嗅いでみるんだけど、本当に〈ゥ゛オエ゛ッ〉てなっちゃうんだよね(笑)」

日村「本当に臭いヤツ(笑)。想像しちゃうと、もうヤバイ(笑)」

設楽「これもラジオでもお馴染みなんですけどね(笑)。臭いんだよね」

――タワーレコードが40周年を迎えたのですが、人で考えた時に30代から40代へ進むということは結構大きな節目かなと思うんです。でも変わらずに毎年アップデートし続けるバナナマンさんは本当にすごいなと思います。

設楽「いやいやいや。してんのかなぁ」

――40代ってどうですか?

設楽「うーん、そうですね。やっぱ40年ってすごいですよね。でも実際、なんか、昔思い描いていた40代よりも全然大人じゃないなってみんな思うんじゃないですかね」

日村「うーん、そうだねー」

設楽「なんか、もっと超大人でさ。なんか、俺のイメージだと、俺もう46歳ですけど、子供の頃思い描いていた46歳なんて、髭生やして、パイプとか燻らしていて、ニットのガウン着てるみたいなイメージでしたもんね。なんか全然違うというか」

日村「でも、葉巻とか吸ってるよね?」

設楽「あぁ、シガーバー行けばね。でもそれも、別にさ、本気で吸っているというよりも格好良さそうだから吸ってるってのもちょっとあるんじゃないかな。なんか、全然思い描いていた大人になってない気もしますしね。うーん、なんか20代わけわかんなくていろいろやって、30代40代ってバリバリ仕事やって、みたいな、僕はそういうイメージなんですけど、一応そうしようとはしているけど、出来てんのか、迷いながら進んでいる状態だから。別になんか、そんな日々進化とか、理想の大人とか、まだ全然ですよ。まだまだって思いながら、で、気づいたら50代に突入しそうだけどね」

日村「うーん、でもなんか、理想の方にいっているような、絶対みんなそう思ってますよね?」

――はい(笑)。

設楽「だから、あれじゃない、なんとなく理想を持っているからそこに近づこうとしてやってるんじゃない?」

日村「うん」

――理想を持つことが大切なのですかね。

設楽「なんかやっぱり年相応と言うかね。でもまぁそう考えると、理想というか、結婚して子供がいてとかね……。じゃあやっぱりそういう風に近づいているのかなぁ」

日村「外から見たら、めちゃくちゃ憧れられる人になっているってのは間違いないと思うよ。ぶっちゃけこれはマジで」

――お二人共そうですよ!

日村「俺は絶対無い!」

設楽「そうだな(笑)! そうだな(笑)!」

日村「はえーな(笑)。はえーのよそこ(笑)」

一同「(笑)」

設楽「はっはっはっはっはっ(笑)」

日村「でも本当にそれはそう思います。本人は違うって言うけど」

設楽「でも、俺らは特殊だと思いますよ、こういう仕事しているし、こんな感じでやってるから、2人でしゃべってたりとかってさ、他の人ってもっと責任があったりさ、なんかバカみたいにこんな風にしゃべってられないんじゃない? なんか」

日村「でも、申し訳ないけどぉ、そのバカみたいなところにもやっぱりお笑い芸人の〈センス〉って出ているのよ(笑)。申し訳ないけど(笑)。本当にバカみたいなこと言う時もあるよ、ラジオとかでね。いや、まぁまぁまぁ……でも本人はそうだよね(笑)。本人はもっとこうだって言うのはあるのかもしれないね」

設楽「でもまぁ、そうだね。俺が20代の頃、こういう40代に憧れていたかもしれないね」

日村「うん」

設楽「それにはなれているかもしれないですよね」

――素晴らしいですね。

設楽「髭だけ無いくらいかな(笑)? あとは理想通り(笑)!」

日村「髭は生やせばいい話じゃないの(笑)? それはやっぱ『ノンストップ!』的に生やせないの?」

設楽「『ノンストップ!』的と言うかさ、髭ってさ…俺髭あるとちょっと違うでしょ(笑)」

日村「あー(笑)」

設楽「でも俺の髭のイメージは、すげぇちゃんとした髭よ。厚みのある。俺いま生やしてもそんな髭にならないんじゃないかな(笑)」

日村「厚みのある? 外国の人みたいな?」

設楽「なんなら白髪交じりの髭でさ、メガネとかかけてさ、で、パイプとか吸って、ダンディなオジサンみたいな。あーいう髭のイメージよ」

日村「そうかそうかそうか」

設楽「ちょぼちょぼちょぼじゃなくてさ」

――じゃあネタの中で(笑)。

日村「ネタで髭付けたら本当にそういう感じになっちゃうよね、歳が歳だから。ちゃんとオジサンだから」

設楽「そうだね、オジサンだからねー」

日村「髭付けてるな~の感じにはならないよね」

設楽「んふふ、どういうこと(笑)?」

日村「髭に負けない人になっちゃったっていう(笑)」

設楽「まぁ、そりゃそうだろうみたいなね(笑)。かもね(笑)」

――最後まで、ありがとうございました!

〈こぼれ話〉

インタビュー前、テーブルにこれまでのバナナマンさん表紙の「別冊TOWER PLUS+」を資料として何枚か置いていたのですが、それを設楽さんが広げて日村さんだけが並ぶように重ねて、それを日村さんに見せて笑っていたのがおもしろかったです(笑)。ぜひ今回のポスターもお楽しみに!