DAOKOのニュー・シングル“御伽の街”がリリースされた。〈歌い手〉として力強さを増し、表現の幅をグッと広げた『私的旅行』(2018年12月)から約1年、〈その先〉を見据えたパワフルな一曲だと感じる。
サウンド・プロデューサーは、2019年末にアルバム『Piercing』を突如発表した小袋成彬(余談になるが、同作は傑作と言っていいすばらしい内容なので、ぜひ聴いてみてほしい)。太いベースに、ほんのりとUKガラージ的なニュアンスを醸し出すダンサブルなビート、フューチャリスティックなシンセサイザーの音色……。どこか宇多田ヒカルの名曲“traveling”(2001年)を思い起こさせる瞬間もある。
DAOKOはダンス・ミュージックの歌い手として、艶めかしく、挑発的に聴き手をダンスへと誘う。ここにいるのは、ウィスパー・ヴォイスを封印した力強いシンガーだ。そしてリリックからは、東京のギラつく繁華街から地続きのSF的、近未来的、サイバーパンク的な世界が立ち上がる。
2020年のDAOKOを頼もしく思うととともに、彼女のこれからが楽しみでたまらない。しばらくはこの曲をヘヴィー・ローテーションしたい。