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山崎ゆかり、中川理沙、吉野友加――3つの〈声〉がユカリサに集まるまで

――まずは、ユカリサを始めようというアイデアはどなたからだったんですか?

山崎ゆかり「私からでした。中川さんに(空気公団の)サポートをお願いする前から、彼女のピアノがいいなと思ってたんです。それでサポートでの共演を経て、〈なにか一緒にやってみようよ〉って声をかけました」

――最初は山崎さんと中川さん、2人のユニットとして考えていたということですか?

山崎「いえ、もともと(吉野)友加さんも加えた3人にしたいと思ってました。tico moonは演奏も素敵だし、友加さんの歌声もいいし、ぜんぜん違う歌声の3人が集まったらいいだろうなと思いました」

tico moonの2017年のベスト・アルバム『Beautiful Days』収録曲“Beautiful Days”

――2人(中川、吉野)は、山崎さんからの誘いを受けて、どう思いました?

中川理沙「〈やったー、うれしい〉(笑)。空気公団のサポートをさせてもらって、ゆかりさんと一緒にハモりをするのが自分にとってすごく自然というか、自分の声もゆかりさんの声もよく聴こえるんだけど、溶けて一つになっているような不思議な心地がして、〈なんかすごいな〉と感動したんです。

空気公団のサポートでtico moonとも一緒になって、そのとき初めて友加さんとはお会いしました。初めて友加さんと一緒に音を出してすぐに大好きになったから、2人と一緒にやれるのはすごくうれしいなと思ったし、すごく自然なことのような気もしました」

吉野友加「私もユカリサを3人でやってみないか、ってゆかりさんから言ってもらったとき、〈楽しそうだな〉って思って、すぐに〈ぜひ!〉って答えました」

山崎「この3人は各々に母体があるんです。それぞれのバンドではできない音楽性というか、自分の表し方もある。そういうことがこの3人で集まれば、すごくシンプルにやれそうな気がするというのが(声をかけた)第一の理由でした。

ヴォーカルが3人いるから、アルバムを聴いても入れ替わり立ち替わりいろんな声があって面白い。だけど、ユカリサとして一本まっすぐ中心に線があるような感じに見えそうだなとも思いました」

 

どんどん引いていって、いちばん重要なところが重なってアルバムになるのが理想

――楽器の編成もミニマムだけど、すごくうまくそれぞれの個性がハマったなと感じます。

山崎「そうですね。極力、音を投げ込まない。自分たちにできることは限られてるけど、それを集めたらどんな音楽になるんだろう。それをもっと引いていって、このかたちになるというのがいいなと思います。

もともと〈引く〉ことは好きなんです。どんどん引いていって、いちばん重要なところはどこなのかを知り、それがダルマみたいに重なっていって一枚のアルバムになるというのが理想です」

『WATER』ティーザー

――声だけじゃなく、楽器の音自体も重なり合って交差して変わっていく感じがして。

吉野「ピアノとハープって似てるようでぜんぜん違ってるんですけど、理沙さんの弾くピアノは私のハープとすごく近い気がしてます。ぶつかり合ったりしなくてすごく気持ちよく聴けるんです。それは理沙さんのピアノだから大丈夫なんだろうなと思ってます。

ゆかりさんもベースとか、シンセでちょっと弦っぽい伸びていく音を重ねてくれて、それで広がりがあって気持ちいいという感じにいつもなります」