奈良を拠点に活動を続ける3ピース・バンド、Age Factoryは壮大なイメージを描いて、リスナーを巻き込んでいく。
前作『GOLD』(2018年)は自身のロック・サウンドの飛距離を伸ばすことに注力して、意識的にスケールを拡大。全国のフェスティヴァルを席巻しながら、さらにその名を轟かせていった。
その後、2019年にはDAIZAWA RECORDSに移籍し、配信シングルを3曲連続で発表。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になってしまったが、自身最大級のイベント〈NOVA CITY〉の主催や、清水エイスケ(ヴォーカル/ギター)が中心となって楽曲プロデュース、イベント・オーガナイズ、グラフィック・デザインなどを手掛けるクリエイティヴ・チーム〈HEAVEN〉の立ち上げなど、規模を広げながら周囲と連帯し、新たなカルチャーを醸成していく独自の動きをしていった。
その存在感は、孤高を貫きながらも、孤独ではない。前述のシングル3曲を含む3作目のフル・アルバム『EVERYNIGHT』は、新たな曲作りの方法や音楽性の抱擁など、トライアルに溢れた豊かな作品となった。
以下にお送りする清水エイスケのインタビューには繰り返し〈イメージ〉という言葉が登場する。eastern youthにおける『感受性応答セヨ』、GEZANが突きつける“Absolutely Imagination”。ロック・バンドから放たれるエモーションが、聴き手の脳裏と感情を満たして景色が広がっていく、あの感覚。そんなイメージのゆくえを自分たちの手で描き切る気概で向き合った作品が『EVERYNIGHT』だと言えるだろう。
本作が今後のAge Factoryの原点だと言う清水の語り口には、自らが思い描く〈イメージ〉を表現できる状態になったことへの確かな手ごたえと喜びに充ち溢れている。