カルヴィン・ハリスやエミネムへの客演、ビリー・アイリッシュからの絶賛などによって世間の認知を高めてきたジェシー・レイエズだが、この初のフル・アルバムで不動の人気を得るだろう。舌っ足らずな可愛さと、ラテンな巻き舌によるワイルドさが同居する声質。無垢な透明感を放ちながら、深く濃い存在感も併せ持つ佇まい。そんな酸いと甘いを自然に歌い分ける、シンガーとしての天賦の才が存分に発揮された会心の一作だ。元彼への恨み節をトラップ・ソウルに乗せビターに歌う“Ankles”や、切なげに綴った未練がゴスペリッシュなコーラスと相まって胸に迫る“I Do”など、彼女の世界観は繊細で剥き出し。それらを支える楽曲群も、物憂げでアトモスフェリックな統一感をもって彼女の幅広い表現力に寄与する。