現代R&Bの先頭を走ってきたケラーニ。2年ぶりとなる3作目のフル・アルバムは、センシュアルかつ神秘的なムードに包まれ、優しさや思慮深さも感じさせる。シドやブラスト、ジェシー・レイエズといったゲストとのコラボ以外はトラップ系が影を潜め、ストリングスを交えたオーガニック寄りの曲を甘くクールに歌っていく。メインの制作は常連のポップ・ワンゼルで、ラリー・ゴールドの弦が美しい“Everything”などハッピー・ペレズが関与したバラードも上々。スリック・リック古典の引用曲や、ソウルIIソウル曲を使ったジャスティン・ビーバーとの“Up At Night”では90年前後のクラブ感覚で郷愁も誘う。アンブレイとサンダーキャットが声を添えたラストまで、心地良いムードと共に進化を見せる快作だ。