シンガー・ソングライターの内村イタルが率いるバンドの初フル・アルバム。いにしえのフォークやカントリーへの高い知識や見識の深さを示しながら、サイケな浮遊感を過度に塗しつつ何かにつけて風変わりな方向をめざしてしまい、結局何だか据わりの悪い地平に着地する、そんな行為の繰り返しにゾクゾクさせられる。牧歌的な雰囲気を湛えた“山”など中村一義を連想させる内村の歌声が終始ユラユラ揺れている様子も魅力的。