フランク・オーシャン以降の内省ソウルとひと括りに称されたのも今は昔。この2作目で到達した、甘美と神秘の音世界は彼にしか生み出せない独自のものだ。フォークや室内楽からR&Bやゴスペルまで多様な音が親密かつ複雑に混ざり合う様子は表題通りの〈グレー〉であり、中性的な歌唱はいわゆる〈男らしさ〉と〈女らしさ〉のグレーゾーンもしなやかに通り抜ける。ジェイムズ・ブレイクやサンダーキャットら大型ゲスト勢も霞む存在感を放つ快作。