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さまざまな名盤を送り出してきた巨匠、トミー・リピューマの50年

 1936年にオハイオ州クリーヴランドで生まれ、61年にリバティに入社してからレコード業界の裏方として活動してきたトミー・リピューマ。そのキャリアの全容は素晴らしい日本編集盤『Tommy LiPuma Works』でチェックしていただくのが早いが……プロデューサーとしての最初の仕事はインペリアルで手掛けた同郷のオージェイズで、以降もA&Mではクロディーヌ・ロンジェ、ブルー・サムではベン・シドラン、コロムビアではバーブラ・ストライサンド、ワーナーではジョージ・ベンソンやマイケル・フランクス、と各社を渡り歩いてキャリアアップしながら多くの名盤を送り出していく。A&Mに出戻った時期にYMOを担当したことも有名だろう。

 70年代末にはエグゼクティヴとしてワーナーに戻り、ランディ・クロフォードらをヒットさせる一方、帝王マイルスの移籍作も制作。その後にエレクトラで制作したキャリアの代表作こそナタリー・コールの『Unforgettable With Love』(91年)だ。GRP/ヴァーヴでダイアナ・クラールをブレイクさせて以降は、ヴァーヴのチェアマンを務めながら、ダイアナを伴ってバーブラやウィリー・ネルソン、ポール・マッカートニーをプロデュースもしていた。その最後の仕事がダイアナだというのも納得のいくところだろう。 *轟ひろみ