ささやくように歌われる声に、いいようのない温もりを感じる全12曲。3年ぶりの新作となったダイアナ・クラール。その内容は2016年以降に録り溜めてきた未公開音源で構成されたもの。ダイアナを見い出し、長年プロデュースにかかわってきた巨匠トミー・リピューマ(2017年死去)との最後の録音であり、彼のお気に入りだった1曲目の“バット・ビューティフル”をキーに極上のスタンダード・ナンバーが揃った。自身のピアノ、お馴染みのメンバーでのコンボ、ストリングス・オーケストラといった編成を曲によって使い分け、ピアノを伴ったエモーショナルなダイアナのヴォーカルが恩師への想いを伝える。
2017年の前ソロ作『Turn Up The Quiet』のセッションから選りすぐった、恩師トミー・リピューマとの最後のレコーディング集。馴染みのクァルテットで送る冒頭の“But Beautiful”から贅沢な深みに引き込まれる。さまざまな編成での音源が並ぶなか、トニー・ガルニエ(ボブ・ディラン他)やカリーム・リギンス、マーク・リーボウらとの録音が特に素晴らしく、ディランを取り上げた表題曲や“How Deep Is The Ocean”の再演が絶品だ。