Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第80回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【田中亮太】
ROTH BART BARON “極彩 | I G L (S)”
10月28日(水)にリリースされる新作『極彩色の祝祭』より。〈君の物語を/絶やすな/絶やすな〉――三船雅也がリスナーに届ける言葉は〈Love Yourself〉のある種の変奏にも聴こえる。ゆったりと、でも着実に前進してくリズムとホーリーなコーラスで、ときおりロウテンポのハウス・ミュージックのように響くのもおもしろい。
Barbican Estate “Gravity of the Sun”
サイケデリックなインディー・トリオが今年の3月にリリースしたセルフ・タイトルのEPから“Gravity of the Sun”のミュージック・ビデオを公開。シタールやパーカッションの誘うままにトリップすれば、あなたも私もクルクルと回っている。
シバノソウ “夏で待ってて”
クリーントーンのギターと軽やかな疾走感を堪えたビートが心地よい。何もなかった夏から、また訪れるべき夏へと向けたラヴレター。2021年が早くきますように。
【酒井優考】
YENMA “シャンデリア”
以前ここでも紹介してレビューも書いたCharlesがYENMA(エンマ)に改名して初めて公開したMV。誤解を恐れずに言うと、ここまでポジティヴだと怖いくらいだよってくらい明るくてキャッチーな歌と、それにプラスして映像も思わず笑っちゃうもの。……なんだけど、こんなに真っ直ぐなやつ、俺は嫌いじゃないぜ。そして4人とも美男美女! ここ大事なところです! MikikiではそんなYENMAを特集予定です!
chelmico “どうやら、私は”
出す曲出す曲全部紹介してすみません。だって全部いいんだもん。惜しくも開催延期になった〈SUPERSONIC〉会場予定地での最速撮影。早くライブやフェスに行きたいね。
フィロソフィーのダンス “ドント・ストップ・ザ・ダンス”
タワレコ店頭でかかってて衝撃を受けた曲。この歌唱力にこの転調の嵐はまさかアイドルではないだろうし、誰なんだ……と思ってたら、これが噂のフィロのスですか! アイドルと一括りにして聴かず嫌いしてたけどこれはハマるわ。すごい。
【天野龍太郎】
寝坊主 “空蝉 prod.Joshunend”
〈カートコベインがいま生きてたら もっかいパーンってすると思う〉。苛烈ですさまじいニヒリズムに裏打ちされた、やけっぱちで捨て鉢の、のっぴきならないラップ。まだ16歳か17歳だという愛媛の寝坊主、とにかく気になる存在です。
MARIA feat. LUVRAW “Far Away”
MARIAが待望の新作をリリース! 明日9月30日(水)にリリースされるニューEP『Deep Float』から、“Far Away”のミュージック・ビデオが発表されました。MARIAのスウィートでフラジャイルな一面を垣間見ることができるメロウで優しい曲で、LUVRAWのトークボックスも効いています。配信リンクはこちら。
in-d “Breath”
今週はなんだか、メロウ&スウィートな曲が多いかも。MARIAと同様にこちらもSUMMITから。『outdoor』の発表からなんと3週間で新作『input』をリリースしたin-dの新曲。実直なリリックが心に刺さります。〈最近行けてねぇな あの場所/落ち着いたら会いに行こう あいつにも あいつにも/いつも通りがそうじゃない時もあるだろう〉。ほんとにそう。MVのディレクターはUMMMI.。配信リンクはこちら。
8mileAliens “ONSET MY TURN”
以前TOWER DOORSが紹介していた、金沢で結成された8人組の8mileAliens。彼らから、6月に配信リリースした“ONSET MY TURN”のMVが届けられました。ちなみに、8mileAliensは今夏ファースト・アルバムを発表する予定だったはずですが……。とにかく、“ONSET MY TURN”はアルバムが楽しみになる一曲。配信リンクはこちら。
嵐 “Whenever You Call”
10日前にリリースされ、とっくに話題になっている楽曲ですが、先週は秋分の日のために連載がお休みだったのでお許しください。ブルーノ・マーズ&Dマイルがプロデュースと作詞作曲を手掛けた嵐の“Whenever You Call”。ちょっと懐かしい90s R&B調の、包み込むような優しいメロディー。そして、〈嵐が英語で歌うとこんなふうに響くんだ!〉という意外性に驚かされました。感動的で胸に迫る、珠玉の一曲。配信リンクはこちら。
入江陽 “週末(旅するついでに、髪を切る ver.)[202009]”
こちらも10日前にリリースされた入江陽さんのニュー・シングルです。サトウタイシ(ZATTA)によるファンタジックでソウルフルなウォール・オブ・サウンドでよみがえった“週末”。これは素晴らしい! 特に、ストリングスにぐっときます。配信リンクはこちら。
NNMIE “河原が続く可能性”
たまーに、ひっそりと新曲がリリースされている、んミィさんのSoundCloudを定期的にのぞきにいっています。んミィさんらしいミニマリズムが極まったような、とてもささやかなポップソング“河原が続く可能性”。パーカッションの遊びがとてもおもしろいです。
今回ここで紹介しきれませんでしたが、この2週間はdodo“Fo”、STUTS“Mirrors feat. SUMIN, Daichi Yamamoto & 鎮座DOPENESS”、JIN DOGG & OVER KILL“SET”、JP THE WAVY“NAMI feat. YZERR”、Tohji“Oreo”、OZworld“Vivide feat. 重盛さと美”、valknee“SUPER KAWAII OSHI”などなど、個人的に注目の新曲やMVが盛りだくさんでした。
【鈴木英之介】
Meitei / 冥丁 “少年”
デビュー作『怪談』(2018年)がPitchforkで〈Best Experimental Albums〉に選出された、エレクトロニック〜アンビエント音楽の鬼才による新作からの一曲。わらべ歌や民謡の破片からなる和風の声ネタとアンビエント調の西洋的なピアノが交錯する美しい音世界を、柔らかなノイズが薄くヴェールのように包み込む。いつまでも身を委ねていたい夢幻的な音楽。
環ROY “Flowers”
なんだこの最高のトラックは……。rei harakamiを彷彿させる浮遊感あふれるループ音とざらついたノイズを基調に、変化に富んだリズムと声ネタが起伏を作り、時折鳴るピアノが全体に格調高さを付与する。そしてそこに淡々としていながら切々とした環ROYのラップが乗るのだから、もう悪いはずがない。MV同様の夕暮れ時に、リピートしながら浸りたい。
踊ってばかりの国 “ひまわりの種”
先週に配信リリースされた新曲(こちらはライブ・ヴァージョン)。一聴してまず、インダストリアル・ミュージックのような導入部に驚かされる。そしてその後に続くのは、ゆらめくようなサイケデリックな音像で包まれた、いつもながらの酩酊感あふれる世界。このゆるやかで快楽的なグルーヴに身を委ねていると、知らず知らずのうちに彼らの穏やかな狂気が伝染しているかもしれない。
【小峯崇嗣】
a子 “CHAOS”
シンガー・ソングライターのa子が先週、デビューEP『潜在的MISTY』をリリース。同作の冒頭を飾る“CHAOS“をご紹介。ノイジーなギターとさまざまなサウンドが交錯するまさに曲名通りのカオティックな曲ですが、シンプルでポップに彩られたメロディーが耳に残る一曲。リリース日となる9月23日に、TOWER DOORSスタッフが出演しているInterFM897のラジオ番組「sensor」に招いて生放送インタビューを行いました。TOWER DOORSのYouTubeチャンネルにアーカイヴをアップしているので、聴き逃した方はぜひそちらをチェックしてください。
Dubb Parade “I wanna be”
群馬の気鋭のトラックメイカー、Dubb Paradeの楽曲“I wanna be”を紹介。清涼感漂うチルでトロピカルなエレポップ・サウンドに、重厚感のあるビートが重なり合い、そこに乗る蜜のように甘く眩惑的な歌声に惹かれる一曲。夏の暮れの夜のように切なく郷愁を感じる曲調です。そんなDubb Paradeにはメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っています。かなり濃い内容となっておりますので、ぜひチェックしてみてください!
さらさ “ネイルの島”
湘南出身のSSW、さらさのデビュー・シングル“ネイルの島”。茹るような暑さが過ぎ去り、夕暮れの爽涼な海風を肌に纏うようなメロウなメロディーに、哀愁漂う耽美な歌声に惹かれる一曲です。いまの季節にピッタリです。
lulu + Mikeneko Homeless “furafura”
シンガー・ソングライター/ビートメイカーのluluと、mochilonとhironicaによるダンス・デュオの三毛猫ホームレスのユニット〈lulu + Mikeneko Homeless〉が新曲”furafura”を引っ提げて戻ってきました。トロピカルなエレポップ・サウンドに、luluの魅惑的で甘美な歌声がマッチした一曲です。
uami “sand storm”
SSWのuamiが新曲”sand storm”を先週リリース。彼女の独特な世界観を駆使した実験的なエレクトロニック・ミュージックに、煌びやかなウィスパー・ヴォイスが加わった一曲です。