Mikiki編集部のスタッフが毎週〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は火曜(歌謡)日、新着の楽曲やマイブームな音楽を紹介していきます。紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてどうぞ。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyのプレイリスト
 
YouTubeのプレイリスト

 


【天野龍太郎】

The World Will Tear Us Apart “S.O.S.”

今週の一曲。

『Teenage Jesus And Casualties EP』(2013年)の衝撃から6年。……6年!? ついに〈テアアス〉ことThe World Will Tear Us Apartがアルバム『Let's Get Lost』を12月25日(水)にリリースします。で、〈Let's Get Lost〉といえばチェット・ベイカー。〈get lost〉には〈道に迷う〉という意味と、〈出ていく〉という2つの意味がありますよね。2019年、街のただなかで〈get lost〉した、してしまった、みずからした、はぐれものたちのためのソウル・ミュージック――『Let's Get Lost』はそんなアルバムになっているんじゃないかと、この“S.O.S.”を聴きながら勝手に思っています。

 

入江陽 “気のせい (201912)”

入江陽さんの新曲は、京都精華大学のワークショップで学生が作曲したものに詞をつけて歌った、というもの。これがとんでもなくすんばらしくて、感動的な一曲です。アレンジャーは、Orangeade改めconteに加入したシンリズムくん。良質でよく練られた、泣けるポップソング。ユーモアと変態性にあふれた曲ばかりを発表している(もちろん、いい意味で)入江さんの美声が、こういったストレートにいい曲で披露されている、というのもうれしい驚きで、心を揺さぶられます。

 

阿佐ヶ谷ロマンティクス “独り言”

阿佐ヶ谷ロマンティクスの帰還。〈色香〉という言葉がよく似合う、歌謡曲とシティ・ポップのあいだを漂う阿佐ロマ節。見事です。2018年のインタビューも、ぜひこのタイミングで読んでみてください。

 

前野健太 inspired by DJマルコメ “ふるさと”

先日、ふとしたきっかけで、なぜか朝まで飲み明かした前野健太さんの新曲。『サクラ』(2018年)を経た前野さんの歌と、おとぎ話の変わらないロックンロールな演奏。最高です。しっかりと醗酵して、滋味とうま味があふれだし、感動的な一曲に注ぎ込まれています。

 

mori_de_kurasu “昇仙峡”

Local Visionsからリリースされた、森で暮らすさんのファースト・アルバム『Forest Room』から。SNJOくん制作のカヴァー・アートには〈都市の真ん中、“永遠の森”のイメージアルバム。〉なる架空の惹句が書かれていますが、まさにその感じ。森で暮らすさんプロデュースで、謎の女性ヴォーカルが歌った〈イメージアルバム〉も聴いてみたい、なんて思いました。最近、手が回らなくてLocal Visionsの記事を書けていなくて申し訳ありません!!

 

角銅真実 “Lullaby”

1月22日(水)にリリースされる角銅真実さんのアルバム『oar』。そのリード・シングル『Lullaby / December 13』から。まさかのメジャー・デビュー、という驚きもありつつ、それ以上にアルバムのすばらしさに嘆息。ほのかなアメリカーナというか、オルタナティヴ・フォークの感覚のさらなる異化、というか……。“Lullaby”を聴いていると、〈どこでもないどこか〉が目の前に立ち現れるかのよう。角銅さんについても、松永良平さんによるいいインタビューがあるので、ぜひ読んでくださいね(Mikikiはいいインタビュー記事が多いサイトなんです!)。

 

【田中亮太】

RA.707 Changsie

今年、クラブ友達からの支持が絶大だったChangsieさんの最新ミックス。今回は、UKガラージ中心のセットでファンキー&疾走感たっぷり。夜の街を軽快に歩んでいくための最高のサウンドトラックです。彼女は来年から1年間ロンドンに移住されるようで、国内最後のDJとなる〈オープン・トゥ・ラスト〉パーティーは1月24日(金)に東京・渋谷WWWβで開催。絶対に行きます!

 

CHIIO “Compass”

地面から1cmだけ浮かせてくれる3分間。

 

BLUEVALLEY “Yume no Uta”

名古屋を拠点に活動するミナタニキクミさんのソロ・プロジェクト、BLUEVALLEYのファースト・7インチ『I LIKE WHAT I LIKE!!!!』より。リズムボックスによる情感のないビートと、粗いファズ・ギターのコンビネーション。誰も触れることのできない彼女だけのポップ。

 

家主 “お湯の中にナイフ”

名ソングライター揃いの4人組を〈天才・田中ヤコブ率いる〉と前置きすることはできませんが、ヤコブ氏作詞・作曲のこの曲は初期の中村一義ばりのポップ・マジックが爆発していて、失禁しそうになりました。確かに天才とは言いたくなる。

 

【高見香那】

石指拓朗 “さあ出といで”

明日リリースのサード・アルバム『ナイトサークル』から。石指印な曲はもちろん素晴らしいとして、氏のチャーミングなオフショット満載のミュージック・ビデオがいいですね(↑で田中さんが紹介している家主の田中ヤコブさんが撮影&楽曲にもバンドセット・メンバーとして参加)。音楽だけじゃなく被写体として、さらに〈動く石指〉がこれまた魅力的だと思うので(年始に出演されていたウンゲツィーファ「さなぎ」でもめちゃくちゃ良かったです)、そちら方面の活躍も期待しています。

 

WAY WAVE “最高の彼氏 -the supreme man-”

うどん兄弟やそこから派生したANNA☆S、加納エミリさんとの限定ユニット・江ノ島爆走ギャルズなどでも活動する小池杏奈&優奈の姉妹ユニット(小西康陽氏もお気に入りだそうです)。明日リリースのセカンド・アルバム『SOUL PUNCH』収録のこの曲は曽我部恵一氏が作詞・作曲。ワルそうな友達(?)を率いてクールにラップ調で歌い、〈最高〉と連発するふたりはいつも最高です(うどん兄弟も久々聴き直した)。

 

ブルー・ペパーズ “マリンスノーの都市 feat. 佐々木詩織

若きポップス職人として個々でも活躍するおふたりから久々のニュー・シングル「Believe in Love/マリンスノーの都市 feat. 佐々木詩織」が到着。このカップリング曲は、ものんくるのコーラスなどもしているシンガー・佐々木詩織を迎えた初のデュエット曲で、(インフォにあるとおり)クワイエット・ストーム感のある、ムードたっぷりな歌唱と心地よく配置された音のアンサンブルに酔いしれる逸曲。

 

【小峯崇嗣】

MON/KU “MELTING POINT”

今年の1月に突如SoundCloudにアップした楽曲が波紋を呼んだ、トラックメイカーMON/KU。〈音楽経験なし、楽器も弾けない、イメージのみでDAWを用いて作曲する〉と書かれたプロフィールには二度見してしまう程。そんなことを一切感じさせない、才能を兼ね備えた彼の楽曲は、いつ聴いても驚きを隠せません。

TOWER DOORSでは彼にメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っていますので併せてぜひチェックしてみてください。

 

YOHLU "&I"

福岡で活動するフューチャー・ソウル・ユニット、YOHLUの新曲。ディスコ調でリズミカルなドラムに、トロピカルなサウンドが印象的な一曲です。ファルセットなKENTOのヴォーカルには毎回虜になってしまいます。

 

【酒井優考】

リーガルリリー 『GOLD TRAIN』

一人ぼっちで、うまくいかないこともたくさんあって、そういう時に欲しい言葉は〈がんばれ〉とか〈きっとうまくいくよ〉じゃない時もあります。そんな時に寄り添ってくれるような、タイトルの通り誰も乗ってない深夜の快速電車みたいな曲。“ハナヒカリ”でコレ次来るんじゃないのと思っていたのが確信に変わりました。ファースト・アルバム『bedtime story』は来年2月。

 

Charles “西へ行こうよ”

1月リリースのネクライトーキーの新作に“北上のススメ”という〈北へ行こうぜ〉って曲があるんですが、Charlesのほうはなんと“西へ行こうよ”。どちらも、いま追われてるものをほっぽって遠くへ行きたくなるのは一緒だけど、こちらはさわやかにスコーンと気持ちのいい通りの良さ。とにかく遠くへ行きたい。

 

NYAI “Pomason” 

いい意味でゆるめのロック具合もいいけど、MVの絵もいいなあと思ってたらこれヴォーカルのtakuchanさんが描いてるの!? すごい! 絵も売ってほしい。

 

Sweet William と 青葉市子 “あまねき”

おやすみなさい、起きたら平和になってますように。