1984年のデビュー以来、第一線で活躍を続ける須川展也が遂にバッハ“無伴奏パルティータ”に挑戦。原曲は神尾真由子が弾くヴァイオリン曲であるが、神尾のバッハが輝かしいヴァイオリン的な美観を前面に打ち出した名演とするならば、須川のバッハはサクソフォンの柔らかく深みのある音色を生かした、大人の味わいをもった名演だ。須川はサクソフォンにオルガン+ヴァイオリンをイメージし、豊かな響きと旋律の歌を共存。加えてバッハならではの音形の反復進行(シークェンス)をサクソフォンの多様な音色で彩り、聴き手に全く新たなバッハ体験をもたらしてくれた。神尾のバッハとともに必聴の魅力盤だ。