海外盤のデビュー・アルバム(本誌vol.146にレヴュー掲載)で色彩のコントラストの鮮やかな音楽作りが耳に残った俊英ピアニスト務川慧悟。今回日本のレーベルからの初めてのアルバムはショパン(バラード第1番など)、ラフマニノフの楽興の時(全6曲)、ブーレーズのアンシーズ(2001年版)と19、20、21世紀の作品を並べた構成。煌きと翳が交錯する彫りの深いタッチのラフマニノフに強く惹かれた。エッジの鋭い切り込みの際立つブーレーズ作品も好演。現在務川は人気ピアニスト反田恭平の率いる事務所に身を置き、一層活動の幅を拡大中で将来の楽しみが豊かな逸材。「レコード芸術」誌2020年10月号特選盤。
務川慧悟『ショパン|ラフマニノフ|ブーレーズ』彫りの深いタッチからエッジの鋭い切り込みまで自在に使い分ける俊英
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