夏 × 音楽=青春
[緊急ワイド] サマームード2014、または未来の思い出

海岸沿いの景色に映える青空のようにカラッとしたギター! その爽快感に幸せな思い出が甦り……

 真っ青な空とプール。そしてビーチに向かって走る一台の車――この爽やかなアートワークに思わずピンときた方も少なくないだろう。金子尚太(ヴォーカル/ギター)率いるロック・バンド、Teen Runningsのおよそ2年ぶりとなるニュー・アルバム『NOW』。そのカヴァーを飾るのは、大滝詠一『A LONG VACATION』をはじめとした数々の名レコード・ジャケットを手掛けてきたことで知られる、あの永井博の描き下ろしによるイラストなのだ。

Teen Runnings NOW Sauna Cool(2014)

 「永井さんといえば、やっぱりシティー・ポップですよね。でも、今回のアルバムではそのイメージを壊してみたいっていう気持ちもあって。なにより僕は永井さんのイラストがずっと好きだったから、OKしてもらえたときはホント嬉しかった」(金子:以下同)。

 確かに、『NOW』の疾走感に溢れるビートと西海岸パンクを思わせるカラッとしたギター・サウンドは、これまで永井が関わってきた作品とはまったくタイプが異なるものだ。金子はどんな風景を思い浮かべながらこの音像をカタチにしたのだろう。

  「海上に架かった長い橋を車で走っているイメージが、ずっと頭のなかにありました。つまりそれって〈フルハウス〉(アメリカのTVドラマ)なんですけどね(笑)。あとは語学留学先のシドニーで見た景色や、僕が住んでた神戸の雰囲気も出ていると思う。週末に家族とよく海岸沿いをドライヴしてたんですけど、その時のBGMはいつも僕が決めてたんですよ。そういう自分の過ごした幸せな時間を思い出しながら曲を作っていたら、こういう音楽になったんです」。

 金子がたったひとりでホーム・レコーディングしたこの作品は(ミックスはHARVARDの植田康文が担当)、どうやら彼の抱えるノスタルジアがとても素直に反映されたアルバムのようだ。同時に前作『LET’S GET TOGETHER AGAIN』のローファイな音作りから少しずつクリーンなサウンド志向へとシフトしているTeen Runningsの歩みは、近年のUSインディーの流れともシンクロしている。そう、『NOW』は文字通り〈いま〉を感じさせる作品なのだ。

  「〈このアルバム、80年代のコンピレーション・アルバムみたいだな〉と思って。それで(洋楽ヒットの人気コンピ・シリーズ〈NOW〉に倣って)このタイトルにしたんです(笑)。それに今回は歌詞で吐き出したいこともたくさんあったし、結果としていまの自分が思いっきり出た作品になったんですよね」。

 Teen Runningsが用意したこの夏のBGM『NOW』。あなたが2014年の夏に過ごした幸せな時間をいつか思い出すとき、その記憶と共に鳴り響く音楽はきっとこんな感じだ。

 

▼関連作品

左から、Teen Runningsの2012年作『LET'S GET TOGETHER AGAIN』(SECOND ROYAL)、HARVARDの2011年作『HAHVAHD』(AWDR/LR2)

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