アナログ・ジャズ愛好家の現在を映す3枚

SONNY CLARK PROJECT 『Sonny Clark Project』 Icaros Music(2020)

 アテネで生まれた、ソニー・クラークの名演に光を当てたプロジェクトの登場だ! クラークは日本発信の人気ピアニストの作品ということもあり、〈名盤の名演〉を思い出しながら楽しむのには最適の作品がアナログで発売! Stjepko(Steve)Gut (トランペット)はユーゴのダスコ・ゴイコビッチに相当する、セルビアのトランペットの名手、ベテランのジャズ・ファンにはお馴染み、ディモス・ディミトリアディス(サックス)は、リーダー作2枚を発表、デイヴ・リーブマンに激賞され、フルブライト奨学金を得て、NYのニュー・スクールへ留学、2013年には〈京都賞〉にもノミネートされた俊英。ジョージ・コントラフォウリス(ピアノ)はYorgos Kontrafouris名義の『Don’t Be Shy』が、90年代末のカルト盤で人気だった。耳慣れたお馴染みの曲だが、新しい解釈もあり、〈レコードで聴く新作の純正フォービート・ジャズ〉としてお薦めだ!!

SUN RA ARKESTRA 『Swirling』 Strut(2020)

 次は99年の『A Song for the Sun』以来21年ぶりの新作としてフリークの間にさざ波が拡がっている『Swirling』だ。タワレコの注目アイテムでも紹介済みだが、あえてアナログファンに〈ゴ-ルドLP〉で紹介したい。サン・ラの旧作に録音されたカルト人気の名演から、アーケストラを率いる96歳のマーシャル・アレンが蘇らせた、というより〈新作としての演奏に進化〉させた。出来ればこの演奏を〈ゴールドのアナログ盤〉で聴きたい。最近のライブ映像を見てもアレンの動きは活発、EVIまで使った演奏は不滅の宇宙の使者そのものだ!!

DOROTHY ASHBY 『Hip Harp』 Sowing(2020)

 さて最後は、これもカルト人気を誇るジャズハープのドロシー・アシュビー。正統派ジャズ・ファンにとっては異端の存在かもしれないが、新しいジャズ・ファンにとっては〈真ん中ジャズ〉として聴き続けられてきた。ハープの持つ幽玄な音世界が一瞬シンコペーション・リズムの耳に慣れた心に不思議な暖かさを拡げてくれる。ジャケットも時代感があっていい感じ。30センチ四方のジャケットで部屋に飾りたい!!(*以上、アナログ盤は限定プレスがほとんどです。品切れ再入荷不可の場合はご容赦ください。)