ダフト・パンクが解散した。

2021年2月22日、ダフト・パンクは自身のYouTubeチャンネルで約8分間のビデオ「Epilogue」を発表した。

彼らが監督した映画「ダフト・パンク エレクトロマ(Daft Punk’s Electroma)」(2006年)から抜粋されたこの映像作品では、荒野を歩く2人の姿が映る。しかし、片割れのトーマ・バンガルテルが次第に歩みを止め、もう一方のギ=マニュエル・ド・オメン=クリストが背中のスイッチを起動させることでバンガルテルが爆発。その後、〈1993-2021〉という文字が浮かび上がる。

これを受けてPitchforkがダフト・パンクの広報を長年務めているキャサリン・フレイジャー(Kathryn Frazier)に確認したところ、彼らの解散を認めたという。解散の理由は不明。

トーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)とギ=マニュエル・ド・オメン=クリスト(Guy-Manuel De Homem-Christo)の2人によって93年、仏パリで結成されたダフト・パンクは、90年代のフレンチ・ハウスを牽引した存在である以上に、エレクトロニック・ダンス・ミュージックをポップ・シーンの中心へと送り届け、広範な影響を及ぼしたグループだ。常にロボットのマスクを被って素顔を見せず、独特のSF的な世界を表現したことでも知られている。

2人は95年のシングル“Da Funk”で成功を収めると、97年にファースト・アルバム『Homework』を発表。それに続いて、“One More Time”(2000年)はクラブ・ヒットからポップ・チャートを駆け上がり、ビッグ・ヒットに至った。同曲を収録し、ミリオン・セラーを記録したセカンド・アルバム『Discovery』(2001年)は、時代を象徴するエポックメイキングな作品だ。ここ日本では、彼らが尊敬する松本零士とコラボレーションも話題になった。

その後、ダフト・パンクはサード・アルバム『Human After All』(2005年)を発表し、2010年には映画「トロン:レガシー」のサウンドトラックを手掛けた。寡作ではあるものの、他のアーティストのプロデュースやコラボも含めて、常に第一線で活躍を続けてきた。

2013年にリリースした4作目『Random Access Memories』では、ナイル・ロジャーズやジョルジオ・モロダーら、ファンク/ディスコのレジェンドやスタジオ・ミュージシャンの重鎮たちと共演し、生演奏を中心とするスタジオ・ワークに取り組んだ。結果、ファレル・ウィリアムズをフィーチャーしたスマッシュ・ヒット“Get Lucky”と共に、2010年代におけるディスコ・リヴァイヴァルを決定づける重要な作品に。第56回グラミー賞で最優秀アルバム賞を含む3部門を受賞(“Get Lucky”は2部門を受賞)するなど高い評価を受けた同作が、現在のところダフト・パンクの最後の作品である。

約30年間、ダンス・ミュージック・シーンとポップ・シーンを駆け抜け、重要な足跡を残してきたデュオ、ダフト・パンク。彼らの美しい物語に別れを告げると共に、その音楽を愛したファンとして拍手を送りたい。