繊細なソングライティングが賞賛されたニューヨークのSSW=Cassandra Jenkinsのシングル“Hard Drive”が今年の1月リリースされた頃から話題となっていた。彼女がバンドメイトの死に直面した際に、その悲しみを乗り越えるきっかけに作られたのがこのアルバムだ。フォーク・サウンドを主軸に、語りかけるようなヴォーカルと息遣いで曲が展開していく。そこに幻想的で艶やかなサックスや自然音が重なり、音の深層へと誘う極上のアンビエント・フォークとなっている。彼女が作る洗練された中にも素朴な質感のある曲は思わず聴き入ってしまう。春の訪れと共に届けられた至極の1枚となっている。