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インタビュー

桑原あい『Opera』今しか出せない純度100%の自分を解き放った初のソロ・ピアノ作を語る

©垂水佳菜

ソロを録音するのが夢だった~今しか弾けない純度100%の桑原あいを表出

 ジャズ・ピアニストの桑原あいの新作は通算10作目であり、20代最後のアルバムとなる。そして、その『Opera』は初のソロ・ピアノによる作品だ。

 「次はソロを録りますという話は、1年ほど前からありました。私も20歳の頃から、30歳までにソロで録りたいと思っていたんです。私はもともとエレクトーンをやってからピアニストになったので、コンプレックスのようなものがありました。だから、ソロ・ピアノを弾けるピアニストになるというのが目標としてあり、30歳までに一度はソロ・ピアノ作を出せるぐらいにピアノを鳴らすことができるようになるのが目標だったんです」

 録音は、昨年11月に東京オペラシティのリサイタル・ホールでなされた。それは、彼女が大好きなキース・ジャレットの『The Köln Concert』(ECM、75年)のようなホール特有の響きを介する作品にしたかったからという。一方、ソロという重いハードルを下げようとするかのように、彼女は様々な人の曲に臨み(なかにはGReeeeNやルーファス・ウェインライトの曲も取り上げている)、自作曲はクインシー・ジョーンズとの邂逅を題材にした2017年初出の“ザ・バック”のみを演奏。さらに、全11曲中5曲は他者(シシドカフカ、平野啓一郎、他)からのリクエスト曲を弾くという、ある種ゲームのような事もしている。

 「選曲してくださった皆様には3曲ずつ候補を出していただきました。その中からチャレンジしたい曲、今回のアルバムにふさわしい1曲を考えて、選びました」。なかには、ビル・エヴァンスの超有名曲“ワルツ・フォー・デビイ”(立川志の輔による選曲)も弾いているが、「言われないと、弾かないですよね」と彼女は素直に認める。その設定は、新たなチャレンジにも繋がったようだ。

 そうした新作は、『Opera』と名付けられた。

 「オペラシティで録ったから。あと、オペラってオーパス(作品)の複数形なんですよ。作品がいっぱい入っているという意味も含めて『Opera』にしました。とにかく、ソロ・ピアノじゃないと出せない部分が出ているとは、ひしひしと感じています。メンタルな部分、曲に対して向き合う純度や集中力が、これまでになく高かったのかなあと思います。邪念があると、特にソロ・ピアノは弾けなくなってしまうんです。強すぎるエゴが出てくると、音楽から遠ざかってしまう。今回はそういうのは本当にいらないと思い、今しか弾けない純度100%の桑原あいを出したかっただけですね。格好いいこと、綺麗なことはどうでもよく、いい音を鳴らす、ピアノを良く響かせることだけに集中したかった。そういう意味では、頑張ったかなと思います」

 


LIVE INFORMATION
Ai Kuwabara Tour 2021 “Opera, Solo & Trio”
2021年6月13日(日)東京・ブルーノート東京(Solo & Trio)
2021年6月15日(火)名古屋・BLcafe(Solo & Trio)
2021年6月16日(水)大阪・ビルボードライブ大阪(Solo & Trio)
2021年6月25日(金)東京・東京オペラシティ リサイタルホール(Solo Piano)
出演
Ai Kuwabara the Project:桑原あい(ピアノ)/鳥越啓介(ベース)/千住宗臣(ドラムス)(13、15、16日)
桑原あい(25日)
http://aikuwabara.com/

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