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インタビュー

YUMA HARA『Reality』若き俊英ギタリストが語る、己の志向を時代のモードに刻んだ新作

多方面で活躍する若き俊英ギタリストが、マルチなミュージシャンとしての真価を問う待望の新作を完成! 己の志向を時代のモードに刻んだ彼なりのリアリティーとは?

 2018年発表の『THE DAYS』に続き、2作目となるアルバム『Reality』を完成したYUMA HARA(原ゆうま)。ギタリストとして各所からオファーが相次ぐ彼は、WONK、Nao Kawamura、さだまさし、Little Glee Monsterらのツアーに同行し、Friday Night Plansによる竹内まりや“Plastic Love”のカヴァーでもギターを披露。近年はT-Grooveのディスコ・サウンドにも欠かせない存在で、ギターだけでなくマルチに楽器を演奏している。

YUMA HARA 『Reality』 Pヴァイン(2021)

 92年、横浜生まれ。祖父は、戦後日本のジャズ~歌謡界で活躍したビッグバンド、シャープス&フラッツを率いたサックス奏者の原信夫、父はギタリストの原とも也という音楽一家の出身で、おのずと道は開かれていた。が、ドラムを手始めにピアノ、ギターに触れるも気乗りせず、本格的に演奏に目覚めたのは中学校でパンク好きの友人と出会ってから。その後は、友人たちと組んだBLUE FLAME、The 33sで作品も発表。ヴォーカルも担当した最初のバンドではジミ・ヘンドリックスの本名に因んでJ.M.Yumaと名乗ったほどのジミヘン好きで、父の影響もあってクリームやレッド・ツェッペリンなどに傾倒し、アース・ウィンド&ファイア(EW&F)やタワー・オブ・パワー、ソウライヴなどを聴くようなったという。東京音楽大学附属高校ではクラシック・ギターを専攻。その後、ボストンのバークリー音楽大学へ進んだのは2014年、21歳の時だった。

 「バークリーでは、音楽への向き合い方やコミュニケーションの取り方も含めて日本との文化的な違いが衝撃でした。〈カッコよければいい〉というノリで、ちょっとした発想を大事にして、そこに向かってエネルギーを集中する感じがクリエイティヴだなと」。

 学内でレッスンを受けていたジェフ・ロックハートの口利きで、ボストンの老舗クラブ〈Wally's Cafe〉の火曜レギュラー・バンドのメンバーになったことも大きかったようで、「帰国後に、日本ってファンク(の現場)がないなぁ……と思うくらいファンクをやっていた」という。加えて、3年弱のボストン滞在中に原を刺激したのが、現地在住でバークリーの先輩にあたるmonologこと金坂征広。「好きなミュージシャンを訊かれてナイル・ロジャースの名前を挙げたら、腕前も確かめずにスタジオに呼ばれて」と、軽いノリで始まった交流は実際のレコーディングにまで発展した。

 「自分もYukiさん(monolog)みたいに個人スタジオを構えて、いろんな人とコラボして世界に音楽を発信したいなと。それで帰国後に友人とスタジオを持って、アメリカで録っていた曲も含めて作ったのが『THE DAYS』だったんです」。

 ジャマイカ出身で日本在住のモニーク・ディヘイニー(現在の名義はモニーク・マリアン)が歌う“Be Free”は後にT-Grooveがモダンな80sソウル風に改編したリミックスが発表され、UKソウル・チャート1位を記録。同曲は今回の『Reality』にも新ミックスで収まり、タワレコ限定盤にはmonologのリミックスも収録される。新作には、T-Grooveとのコラボでジョージ・ベンソン風オクターヴ奏法を活かしたEW&F“Brazilian Rhyme”(完奏版)のカヴァー、そのシングルB面曲でジョイ・Tが歌う“City Life”も収め、ダンサブルな方向に寄ってきた近年の気分を反映。ヴォーカルを除いて、作曲/演奏/プロデュースは基本的に本人で、インストと歌モノがほぼ交互に登場するが、ロイ・エアーズ風のヴィブラフォンを鳴らした“Covered in Mystery”やフュージョン・ファンクな“Candy”などのインストも歌心に溢れている。

 「生ならではの揺らぎやズレ、人間が演奏するリアルな感じを出したいなと。だからタイトルは『Reality』。歌に対する憧れも凄くあって、楽器でどこまで歌に近づけるかを常に意識しています。楽器奏者って楽器を前面に出したインスト・アルバムを作りがちですが、それは避けたくて。今回、“Regret”に関してはギターも弾いていない。この曲は最後までギターが欲しくならなかったんです」。

 前作に続いてシンガーが女性ばかりなのは偶然だというが、アシッド・ジャズ風の“Stay With Me”を歌うモニーク・マリアンなど、彼女たちのヴォーカルも都会的な音世界に大きく貢献。メロウ&スムースなダンサー“The Way Back”を歌うRuri Matsumuraも前作からの続投で、バークリーで一緒だった彼女には「コンセプトを伝えると美しく言葉にしてくれる」と信頼を寄せている。そのRuriが高橋あずみ、JUDYと参加した“Light in Our Days”は、〈すっぴん〉なるユニットでも活動する3人がソウルフルに歌うバラード。佐藤雄大が弾くイントロのオルガンからチャーチな雰囲気が立ち込める。「アメリカでは教会でも演奏したし、音楽としてのゴスペルも大好き」という原にとって、こうした雰囲気に近づくのは自然なことだった。

 そして姉貴分として慕うのがHanah Springだ。彼女の父親(岩見淳三)がシャープス&フラッツ最後のレギュラー・ギタリストだった関係で古くから親交があり、今作では“Brazilian Rhyme”のほか、原がアコースティック・ギターを弾いた“You Are“で繊細かつスケールの大きい歌を聴かせている。

 「大切なものに対しての感謝の気持ちを歌ったバラードで、今回最後に出来た曲です。冒頭の“Wrapped In Mystery”が前作からの連続性を感じさせるように、この曲が次のアルバムに繋げられたらと思って」。

 タワレコ限定盤に入るプリンス/チャカ・カーンのカヴァー“I Feel For You”は、自身がビートメイキングをした曲で初めて世に出るものだという。ギターの技量に溺れずチャレンジし続ける俊才の、これからのストーリーにも大いに期待したい。

左から、YUMA HARAの18年作『THE DAY』(Soul Fellowship/Uplift Jazz)、T-Grooveの編集盤『T-GROOVE WORKS VOL.2 DOUBLE PLATINUM REMIXED BY T-GROOVE』(Kissing Fish)、Hanah Springの18年作『Dreamin'』(TOKYO RECORDS)

 

YUMA HARAが参加した作品を一部紹介。
左から、monolog+Ai Ichikawaの15年作『THE LIMELIGHT』(Grand Gallery)、Friday Night Plansの18年のシングル“Plastic Love”(Kissing Fish)、さだまさしの18年作『Reborn ~生まれたてのさだまさし~』(Colourful)、SAUCY LADYの2019年作『SUPANOVA』(AT HOME SOUND)、CHEMISTRYの19年作『CHEMISTRY』(ソニー)、Taeyoの20年作『ORANGE』(ポニーキャニオン)

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