この新作リリースについて知ったのは、まさにテクノ史に残る92年の名盤3MBのセルフ・タイトル作のリイシュー盤を聴いてきた時だった。だからこそ3MBのメンバーとしても活躍し、テクノ黄金期の90年代からエレクトロニック・ミュージックの歴史を築いてきたモーリッツ・フォン・オズワルドが、ローレル・ヘイローとジャズ・ドラマーのハインリヒ・ケベルリング迎えた作品をリリースすると聞いて心躍らずにはいられなかった。ジャズ、ダブ、テクノなど別ジャンルながら根底で密接に関係していた音を繊細に紡いだ、計算と実験が織りなす大胆なサウンド。“Chapter7”では第四世界的に感じるサウンドスケープを通過し、“Epilogue”はアルバムを完結させると共に次代の始まりを予感させている。