モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオやサン・エレクトリックのメンバーとして活動するジャーマン・テクノの重鎮マックス・ローダーバウアーが、名門ECMからリーダー作のリリースもあるクラリネット奏者のクラウディオ・プンティンと、ドラマー/パーカッショニストのサミュエル・ローラーという、いずれもジャズの名手を迎えたエレクトリック・ジャズ・プロジェクトの約2年ぶり2作目。端正なビートを刻むダブ・テクノを縦軸にフリージャズ的なインプロヴィゼーションと心地良いアンビエンスを演出する電子音の交錯したサウンドは、アヴァンギャルドでありながらも極上の音空間を創出しており、説明不要の圧倒的な完成度を誇る。個性溢れる巨星たちによる究極のセッションをご堪能あれ。
ただひたすらにダビーな音空間を這いずり回るように蠢めく生々しいドラムビート、決して単純明快なトラックとは言い難いが、じっくりどっぷりとその身を浸せばどこまででも限りなく飲み込まれてゆける底なし沼のようであり、卓越したサウンドメイクと類い稀なセンスは聴くものを恍惚の異次元へと誘う。モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオの一員であり、リカルド・ヴィラロボスとのヴィロッドなど活躍著しいマックス・ローダーバウアーによるインプロ志向のプロジェクトでありモジュラーシンセ、ドラム、クラリネットのミニマルなトリオ編成が繰り広げるオーガニックな軌跡は新しい音を求める者に道標となる重要作品。