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HALCALI、m-flo、「サマータイムマシン・ブルース」……ビッグな仕事をこなす

そして、同時期に印象的だったお仕事。まずはHALCALI“ギリギリ・サーフライダー”のリミックス。RIP SLYMEのRYO-ZくんとFUMIYAくんがプロデューサーだったのでFUMIYAくんを介して担当者の方から『HALF WORKS』に掲載したアドレスにいきなり直接連絡が来て、一同泡を吹きます。何故なら2001年リリースのリップの『FIVE』は長らく心のベストテン堂々1位のアルバムだったから。本当によくできたアルバムで影響受けまくりました。

肝心のリミックスはネオアコ・ネタから引っ張ってきたトロピカルなピアノループとスカのリズムでポップなFRESKANOVA(2000年代のBIG BEAT人気レーベル)をめざしました。HALCALIちゃんはこの後“スラローム‘03 “ゲレンデの女王””(2003年)って曲を作った際に、中目黒かどっかのレコーディングスタジオにて初めて対面するのですが、学校帰りのブレザー姿でやってきて、ラップ担当のKOHEI JAPANさんのディレクションを聞いて、お菓子食べながらチョイチョイってカジュアルに録音をこなしていて「スーパー女子高生!」とマジで口に出して言いました。

M.I.A.の2005年作『Arular』収録曲“Bucky Done Gun”
よく考えたらこの頃の僕はディプロ(Diplo)に夢中だったはず。マイアミベースがブラジルまで南下して生まれたバイレファンキ、創始者DJマルボロによるロッキーのテーマ使いを元に、当時M.I.A.の彼氏でもあったディプロが手掛けたフロアアンセムがこちら。世界の中心がここにありました
 

次にリミックスワークの一つの節目となったのがm-floのリミックス。しかも野宮真貴さんとクレイジーケンバンドをフィーチャーした“Cosmic Night Run”(2004年)が依頼曲だったので、西野カナの5億倍震えました。武者震い。もちろん横山剣さんの〈いぃーねっ!〉 をカットアップするところからレコーディングがスタート。憧れの野宮さんのアカペラに感激しながら、ファンカデリック・ブレイク史上最高のリミックスが完成。デモを聴いた☆Taku Takahashi氏から「ブレイクをもっと派手に!」と発注を受けて「はい!」と答えたのがドンキホーテの駐車場だったのよく覚えています。後にミッチー申し訳さん現ミッシェル・ソーリーさんがこのリミックスを激しく気に入ってくれて、新潟にもよくDJで呼んでもらいました。近年、okadadaくんが「たまにかけるんですよ」と言ってくれたのもとても嬉しかったです。

※ミッチー氏は新潟でクラブ、The PLANETを経営していた
 

m-floの2004年のリミックス・アルバム『ASTROMANTIC CHARM SCHOOL』に収録されたm-flo loves 野宮真貴&CRAZY KEN BAND“Cosmic Night Run”(HALF & HALFBY MIX)
 

そしてファーストアルバム『GREEN HOURS』の制作途中にぶっ込まれてきた大仕事が「サマータイムマシン・ブルース」のサウンドトラックの仕事。京都のカフェを借り切って、完成した映像をスクリーンに映しながら、本広(克行)監督に直接レクチャーしてもらいつつイメージを共有していく打ち合わせを経て、トータルで1か月も作業期間がないなか、(橋本)竜樹くんにもSTRAUSSとして共同タッグを組んでもらい、完全分配作業でひたすら猛進。デモ・タイトル“カッパの唄”や“キュウリのファンク”など楽しげな曲も含めどうにかこうにかフィニッシュ。僕が担当した“GIRLS & BOYS”という曲は、「いきなり!黄金伝説。」の人気コーナーにて、よゐこ濱口が獲ったどー!と絶叫するシーンでずっと使われていたのはたぶん僕しか知らないはず。

映画「サマータイムマシン・ブルース」の原作は、京都の劇団ヨーロッパ企画の舞台で、ヨーロッパ企画主宰の上田(誠)くんや、映画にも出演していた永野(宗典)くん、本多(力)くんなどヨーロッパ企画のメンバーとも知り合えたし、そのほかの俳優の皆さんもとても親切で、ムロツヨシくんとはその場のノリで連絡先を交換しました。超ミーハー。何より映画も舞台もめちゃくちゃおもしろくて、参加できて本当にいい経験になりました。「サマータイムマシン・ブルース」のサウンドトラックはTOY'S FACTORYからのリリース。そう、この頃にはトイズ・チームにもすでに色々動いてもらっていました。