Page 2 / 3 1ページ目から読む

行儀はいいんですよ! 見た目が派手なだけで

――今回リリースされた『ワルサ』も、自信しか詰まってない作品ということですね。

「好きな曲だけ、6曲選びました。箸休め曲なし、メインしかいれてません!」

『ワルサ』クロスフェード動画

――1曲ずつお伺いしていきたいと思います。まず、ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」のテーマソング“YY”は、どのように生まれたのでしょうか。

「遊び心だけで作った気がしますね。メロディーと一緒に歌詞もバーッて浮かんできたんですよ。今までの曲は、構成がけっこうウジャウジャしていたんですけど、“YY”は本当にシンプル。ビルボードチャートで上位にランクインしている曲の作りがシンプルだったので、海外の人が聴いてもわかりやすい洋楽アレンジの作品に仕上げました。

一方で、サビのメロディーは和や中華を感じさせるものにして、日本らしさを残しています」

『ワルサ』収録曲“YY”

――ロイさんって、ヒットチャートはあまり気にしないタイプでしたよね?

「“YY”をコライトしたSUNNY BOYさんとの出会いをきっかけに、K-Popを聴いてみたんです。そしたら、最初に聴いたBTSの“Dynamite”が、めっちゃかっこよくて。大好きなジャクソン5を思い出したんです。〈アイドルだから、爽やかキラキラ系なんやろ〉って偏見を持っていたんですけど、“Dynamite”は歌詞もいいし、曲もいいし、振付もいい。〈それは売れるわ〉と思いましたね(笑)」

――〈アイドルだから〉という理由で評価されていると思っていたら、本当に曲がよくて評価されていると知ったと。

「そうです! SUNNY BOYさんには、韓国の音楽業界の裏話もいっぱい教えてもらって、すごく興味が湧きました。締め切りのタイトさや、和訳の大変さ、こだわりの強さ。ちょっと国が違うだけで、アーティストやスタッフの威厳も違うし、作り方も違う。韓国のアーティストはすごく礼儀正しいみたいですけど、日本もきっと行儀がいいほうでしょうね」

――お国柄もありますしね。

「今の日本はネット動画出身であったり、学歴がしっかりしているアーティストも多いので。そんな子たちが〈ウェーイ!〉って人を雑に扱ったりせんと思うし。

でも、私がワーナーに入るときには〈行儀悪いアーティストを探してるって話したら、紹介されたのがロイなんだよ〉って言われました(笑)」

――ロイさん、行儀が悪い感じしないですけど……。

「行儀はいいんですよ! 見た目が派手なだけで(笑)」

 

好きなものが一緒よりも嫌いなものが一緒のほうがいい

――2曲目の“ファボリテ”は、どのような曲ですか。

「実は、これも『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』のために書き下ろした曲なんです。“YY”も“ファボリテ”も自分がしたかったことを濃く表現できた作品だったので、〈どちらが選ばれてもいいや〉と思っていたら、“YY”が主題歌に選ばれました」

『ワルサ』収録曲“ファボリテ”

――『ワルサ』に収録されている曲のなかで、一番“ファボリテ”がロイっぽいような気がします。

「マシコタツロウさんと最初に作ったのが“ファボリテ”だったんですけど、初めて制作でストレスがなくて。1回も行き詰まることなく、4時間くらいで完成しました」

――1回も行き詰まらないのは、すごいですね。

「私が〈こういう気持ち悪いコード弾けます?〉ってお願いすると、イメージ通りのものを弾いて、曲を浮かばせてくれるんですよ。〈これはどう?〉〈いいね〉みたいな、軽い感じで作っていきました。人間としてもアーティストとしても、すごく相性がよかったんだと思います。きっと好きなものではなく、嫌いなものが一緒なんですよね」

――たしかに、好きなものが一緒の人より嫌いなものが一緒の人のほうが、いろいろと分かち合えたりしますからね。

「好きなものが一緒だと、意外とぶつかるっていうか。人間関係もそうじゃないですか。好きな男はかぶらんほうがいいけど、嫌いな女はかぶったほうがいい(笑)」

――サウンドも面白い曲ですが、アレンジのイメージはどのようにお伝えしたんですか。

「楽しくてフワフワしててブラスが入ってる、“Can’t Take My Eyes Off You”のような雰囲気にしてほしいと伝えました。あとは、“Dynamite”くらい今っぽさがほしいとか、ストリングスはオシャレでアクセントになるものがいいとか……。すごくめんどくさいことを言ったのに、出来上がったら全部を満たす曲になってて。口頭でイメージを伝えるのが初めてで不安だったんですけど、アレンジャーのGAKUさんは想像通りに仕上げてくれて、運命の人に出会ったと思いました!」

――3曲目が“少女B*”ですね。

「自粛期間中にGEISHA GIRLSを聴いていて、〈オールドスクールのヒップホップかっこいいな〉と思って作りました。行儀の悪い感じにしたかったので、普段の言葉づかいをそのまま歌詞にして、アレンジはキエるマキュウの(The Anticipation)Illicit Tsuboiさんにお願いしています。〈殴る感じにしてください!〉とリクエストして、ブラッシュアップしてもらいました」

『ワルサ』収録曲“少女B*”

――わざと荒っぽい感じにしたと。

「小学校3年生の頃からダンスをやっていたんですけど、そのときに踊りよった曲がオールドスクールのものが多くて。だから、バキバキした綺麗な音のヒップホップよりも汚い音のほうが好きなんです」