(左から)田中ヤコブ、岡本成央、田中悠平、谷江俊岳

『お湯の中のナイフ』(2018年)、『おさきにどうぞ』(2020年)と、ソロアーティストとして傑作を立て続けにリリースする一方、never young beachなどのバンドでギタリストとしても八面六臂の活躍を見せる田中ヤコブ。その田中ヤコブ(ボーカル/ギター)と田中悠平(ボーカル/ベース)、谷江俊岳(ボーカル/ギター)という3人のボーカリスト/ソングライター、そしてパワフルなドラミングで魅せる岡本成央(ドラムス)で構成されるロックバンドが、家主だ。称賛されたデビューアルバム『生活の礎』(2019年)の発表、さらにカーネーションや曽我部恵一、ザ・なつやすみバンドら尊敬する先達たちとのツーマンライブなどを経て、彼らが待望のセカンドアルバム『DOOM』をリリースする。

いそうでいない、ありそうでない、〈バンド〉としか言えない稀有な何かを携えて佇む4人は、どうしてこれほど絶妙なバランスを保っていられるのか。あるいは、この豊かでピュアなメロディーはどこから湧き出てきているのか。ライターの松永良平(リズム&ペンシル)が、家主の新たな傑作について訊いた。 *Mikiki編集部

家主 『DOOM』 NEWFOLK(2021)

 

音楽以前に一緒に川に行ったり、ご飯を作って食べたり、そこにバンドもある

──前作『生活の礎』から約2年ぶりのセカンドアルバム『DOOM』です。去年、田中ヤコブくんがカーネーションのライブにゲスト参加した日に「明日から家主のレコーディングです」と言っていたので、1年くらいリリースまで時間をかけた感じですね。

田中ヤコブ「最初は5月くらいに出すつもりで、わりとぬるっとレコーディングに入った感触は自分のなかではあったんです。前作からは地続きな感じでしたね」

2019年作『生活の礎』収録曲“オープンカー”。作詞作曲は田中悠平

岡本成央「いや、結構違うと思ったな」

田中悠平「ファーストはそれまでライブでやってきた曲をかたちにしようとして録音したけど、セカンドはほぼ全部ライブでやったことない曲だったじゃん」

ヤコブ「そうか、確かに! 違いました(笑)。厳密にいうと全曲新曲というのもちょっと違って、谷江さんが加入する前、3人時代にやっていた曲が3分の1くらいはあって、残りの3分の2が新曲でしたけどね。

ファーストアルバム以降、ライブにもエンジニアの飯塚(晃弘)さんに帯同してもらってたので、チーム感みたいなものも生まれてましたね。レコーディングに入る前のプレッシャーみたいなのは、前作よりは少なかった」

谷江俊岳「2回目のレコーディングだったから、前よりはちょっと気楽だったけど」

悠平「(ファースト制作時は)右も左もわからなかったから」

谷江「〈リハスタではなくレコスタっていうのを初めて見ました〉、くらいでしたからね」

──ヤコブくんはソロでも2枚アルバムをリリースしていて、どんどんできてくる曲をソロと家主に振り分けているんだと思いますが、田中(悠平)くん、谷江くんはどういうふうに家主の曲作りをしているんですか?

須藤朋寿(NEWFOLK主宰)「バンドとエンジニアの飯塚さん、僕で作っている家主のLINEグループがありまして、新曲ができるとみんなそこに投げてくれてるんですよ」

悠平「ボイスメモとかで、めちゃくちゃ適当に弾き語ったのを送ってます(笑)」

ヤコブ「今回は谷江さんが結構、続々と新曲を作って送ってくれてた印象ですね」

谷江「この人たちは(作った曲を)聴いてくれるので、それがうれしいんですよ」

一同「(爆笑)」

谷江「信用が置ける感じで聴いてくれる。僕からしたら、その延長にセカンドアルバムがあっただけで、それ(作曲)って家主に入って以降は普段からやっていることなんです」

須藤「新曲をLINEにあげるのも世間話の延長みたいな感じですね」

ヤコブ「そういう意味で〈地続き〉な感じだったんだと思います。ぬるっとやっていたことだけど、あらためて思い返すと違ったなというか」

──谷江さんがいちばん最後に家主に加入したし、年齢的にも上ですよね。こういう関係性って新鮮なものだったんですか?

谷江「僕は32歳くらいから(家主で初めて)バンドを始めたんですよ。それまでは(バンドを組む)機会があればいいなと思って生きてましたから」

ヤコブ「(家主の結成自体は古いが)谷江さんが2018年に入って、2019年に4人で初ライブをやり、ファーストもこの4人になってから作っているので、実は〈われわれはまだ2年目のバンド〉くらいの認識ではあるかもしれない」

2021年のライブ映像

──そういうところって、家主のバンドプロフィールを読む人が意外と混乱するところでもありますよね。大学時代のサークルのつながりで、結成からの時間は長いのに、なぜかライブ歴は浅く、青春っぽさが漂っているというタイムパラドックス感。でも、あんまり活動してない期間が長かったとしても、その分、爆発力を溜めていたということになるのかも。

ヤコブ「かたちとしては、そう言えますね」

──この4人の信頼関係って、そもそもどういうところなんですか?

岡本「音楽以前に、一緒に川に行ったり、ご飯を作って食べたり、みたいな活動があって。そこにバンドもある、みたいな感じですかね」

ヤコブ「練習が終わって、一緒に谷江さん家に行ってご飯食べたりする、そっちの時間のほうが長い」

──今はいろいろライブの対バンに呼ばれるようになって、しかもたくさんのお客さんがいて、よろこんで観てくれている、その状況は率直にどう感じてますか?

岡本「わりと困惑しますね」

悠平「数年前には(対バンとして)考えられなかった人たちと一緒にやったりしてるから」

岡本「台風クラブを(客として)観に行ったりしてたわけだし」

ヤコブ「ありえないことでしたけどね。カーネーションと家主が対バンとか、よくわからないですよね」

悠平「おかしいことが続きすぎて、だんだん麻痺してきてるところはあるかもしれない」

ヤコブ「でも、このバンドはお客さんがいっぱいいるほうが緊張しないし、逆にやりやすいなと最近わかってきたところはあります」

──台風クラブとのツーマンでも、この組み合わせで全国ツアーやったら楽しいよね、ってMCしてませんでしたっけ。めちゃくちゃ相性がいい。

ヤコブ「近いアティテュードはいつも勝手に感じてはいます。結構、おんぶにだっこだと思いますけどね(笑)」

──いやいや、いい関係だと思うんです。家主も対バンとして表に引っ張り出されるし、台風クラブも東京でライブする理由ができる、みたいなね。それに2度の延期を経たからということもあるけど、〈おんぶにだっこ〉だけでは説明がつかない巨大な熱量があのツーマンからは生まれてました。

谷江「こだわりがあり、やりたいことをやりつつも、人にも聴いてもらえるような意識は通じてると感じるかな」

 

DOOMなやつらに音楽を届けるDOOMなバンド

──ここからはセカンドアルバム『DOOM』について、いろいろ訊かせてください。そもそもアルバムの全体像はどう考えてましたか?

ヤコブ「アルバムの全体像を共有するというよりは、各曲ごとのアレンジを固めてレコーディングに入るという感じでした」

岡本「アルバムタイトルが決まったのも、いちばん最後だった」

ヤコブ「悩みまくってたんですよね。ピンとくるワードがなくて。最終的にアルバムのミックスが終わって打ち合わせをしていたときに、ポロッと出てきた感じでした」

悠平「〈いいじゃん、それ〉みたいな(笑)」

ヤコブ「それまでは漢字一文字で『蟹』とか言ってましたから(笑)。結局、蟹はアー写になりました」

岡本「『遠投』もあったよね」

ヤコブ「『遠投』は田中さんの案でしたね。釣りの遠投。それはわりといい線まで行きました。でも、なんかもっとハマるのがあるんじゃないかとずっと思ってましたね」

──『遠投』も家主っぽいかも。『DOOM』ってワードでパッと思いつくのは、いわゆるドゥームメタルだし、1曲目の“近づく”はラウドでヘビーな音像だったりしますが。

『DOOM』収録曲“近づく”。作詞作曲は田中ヤコブ

ヤコブ「じつは、僕が大学の音楽サークルに入ったとき、先輩方が〈DOOM〉って言葉を日常的に使っていたんですよ。入った年の新歓を兼ねた花見で、確か谷江さんに高校時代のことを訊かれて〈友達いないんで、ブラック・サバスばっかり聴いてました〉って答えたら、〈君はDOOMなやつだな、ロッ研に入りたまえ〉って言われたんです」

谷江「そんなことあったかな」

悠平「DOOMな人を探す会だったんです(笑)」

ヤコブ「先輩やOBにも〈お前はもうDOOMだよ〉ってすごい歓迎されたんです。それって〈お前は他に行くところねえよ、うちのサークルしかない〉ってことなんですけど、DOOM界の期待のサラブレッドみたいに言われてました」

岡本「〈DOOM〉本来の意味(破滅)とかじゃなくてね」

谷江「自虐的な皮肉みたいな言葉だよね」

ヤコブ「ガチでいうと〈ダメなやつ〉なんですけど、それを〈DOOM〉と表現することでちょっと救われる、みたいな(笑)。こっちもそう言われて〈わかるわ〉って思ったし、わりとそういう人ばっかりがいるサークルだったんです」

──なるほど(笑)。

ヤコブ「なので、今回のアルバムの〈DOOM〉は、完全にそっちのほうの〈DOOM〉です」

岡本「たとえば田中がちょっと落ち込んでるときに〈あいつ今日DOOMだから〉みたいな使い方です(笑)」

ヤコブ「完全にうちのサークル内だけで流行ってた、他の人に言ってもわからない独自の言語だと思います」

──それが家主の共通認識としてのDOOM感になっていった。

ヤコブ「そうです。DOOMじゃなかったら、このバンドにはいられないです」

谷江「別に音楽の趣味でそんなにつながってるわけじゃないし」

悠平「世の中にいる僕らと同じような人たちが家主を聴いて〈あ、これってDOOMだったんだ〉と思ってほしい」

ヤコブ「家主を聴いて〈いいな〉と思ってる人はもうわりとDOOMな感覚を持ってる人が多い。そういう意味では、聴く人が多くなるより、DOOMな人に届けばいい、みたいな気持ちはあります。そもそも僕らは閉じてるんで、それを無理してこちらから広げるのは不自然な話なので」

──メンバーからあがってくる新曲もDOOM的にジャッジする?

ヤコブ「いや、あくまで人間性を指す指標としてのDOOMなので(笑)。

細かい趣味は違えど、いい曲と思うラインは似たり寄ったりなので、曲としての良さはある程度担保されてるんです。なので、そこからはこういうアレンジにしたらいいんじゃないか、みたいに進みます」

 

腕利きアレンジャーとしての田中ヤコブ

──自分が書いた曲は自分で歌う、というバンドっぽさはいいですよね。

悠平「厳密な決まりがあるわけではないですね」

ヤコブ「そうですね。でも、今回“めざめ”は、僕の曲ですけど田中さんに歌ってもらいました。自分で歌ってもしっくりこなかったけど、田中さんが歌えばいけそう、とは思ったので。

僕は昔から他のバンドでサポートギターをすることが多かったし、自分で歌うより人の後ろで弾いて曲を支えるほうが気が楽なんです。家主はみんなの曲がいいので、バックに回るときは自分のスキルを生かせるお仕事でいいなと思ってます」

『DOOM』収録曲“めざめ”。作詞は田中悠平、作曲は田中ヤコブ

──そのヤコブくんのあり方は、ソングライター的なエゴをメンバーの誰からも感じないこととも関係がありそうですね。

ヤコブ「僕自身もぜんぜんないですね。できれば自分の曲も他の人に歌ってもらいたいけど、やむなく自分で歌ってるんです」

悠平「この人(ヤコブ)に(エゴが)ないから、みんなもそうなるんじゃないですかね」

──ヤコブくんはものすごいギターを弾くから、どうしてもライブでそっちに目が行くんだけど、カラッとしてもいるというか、自分の役割が終わったら音楽の主役はパッとみんなに渡しちゃうところがありますよね。曲がアレンジされて戻ってきたとして、すべてヤコブ曲になってしまってる、というわけではないことにも通じているのかな。

谷江「そこがすごいんです、この人は(笑)。大枠を作ってデモを渡しておけば、僕がイメージしてたやつの延長でさらによくなって曲が返ってくる。ヤコブ色になるとかではないんです。たぶん、そういう腕利きのデザイナーみたいなことができる稀有な人です」

ヤコブ「なんとなくこうしたらいいんだろうなというのと、こういう音楽が好きでこう作ってきたんだろうなというのを、自分なりに解釈しつつアレンジはします。人の曲をアレンジするのってめちゃくちゃ楽しくて、いい食材をもらったから料理できるぜって感じなんです。しかもそれを料理して返すと、すごく喜んでくれる」

悠平「本当に。こんないい曲作った覚えないぞ、くらいのができてくる」

ヤコブ「いや、元がよくないと何をしてもダメなんで」

──岡本さんは唯一曲を書かないメンバーで、バンドの要であるドラマーとして、3人の個性をどう見ているんですか?

岡本「僕は3人ひとりひとりのファンなので、いちばん早く新曲が聴けるというめちゃくちゃいいポジションにいるんです。なんていいところにいるんだろうと思いますね。この2年くらいは特に〈どの曲もいいね!〉ってずっと言い続けてます」

ヤコブ「岡本さんのドラムのテンションが高いときはいつもいいライブになるんですよ。バンドをやってる人が家主を見ると、岡本さんのドラムが評価されることが多い気がしますね」

──というか、みんな家主みたいなバンドがやりたくなるんですよ。サウンド的にというより、メンバーの関係性もいいし、ある程度歳は食ってるけど老けてないし、内向きにじゃれあってるだけでもない。そういう関係って、だんだん持ちにくくなるじゃないですか。それこそ4人で一緒に川に行ったりするような。

岡本「他にやることがそんなにないんですよ」

ヤコブ「こないだも一緒に海行って釣りしたし(笑)」

悠平「楽しかったな」

岡本「ウィンナー焼いて食べたし」

 

田中悠平が書く素直な曲の魅力

──アルバムの曲について、それぞれの推し曲などを教えてもらえますか?

谷江「僕は“路地”と“The Flutter”が好きです。田中の“飛行塔入口”も好き。挙げていくとだいたい全部になっちゃうんですけど(笑)。どれもいい曲。なかでも“路地”と“The Flutter”は、曲の構成もすごいし、ヤコブらしい。力みすぎてないけど、熱量すごいぞ、みたいな。田中の“飛行塔入口”もすごくさわやかで、シングル間違いなし、みたいな曲です」

『DOOM』収録曲“路地”“The Flutter”。いずれも作詞作曲は田中ヤコブ

──続いて、田中さん。

悠平「……“近づく”かな。やっぱりギターがかっこいいですよね。ひずんだギターがかっこいい。僕はあんまりハードロックは聴いたことないんですけど、そこを通ってポップな曲をやってる人はすごく好きなんですよ」

ヤコブ「わかります」

悠平「ヤコブのハードロックみが存分に発揮されてる曲です」

──田中さんの“飛行塔入口”は、谷江さんから推しがありましたが。

『DOOM』収録曲“飛行塔入口”。作詞作曲は田中悠平

悠平「アルバムではあれ一曲しか書いてないんですけど、レコーディングでアレンジしていって〈めっちゃいい曲じゃん〉ってなりました」

岡本「今回いちばん伸びしろがあった曲かもしれない」

ヤコブ「いろんな楽器を入れましたからね」

谷江「楽器めっちゃあったよな」

悠平「今回は曲作りに苦戦しちゃって、わりと苦しまぎれに昔作った曲の原型を直してヤコブに送ってみたんです。最初はそうだったんですけど、レコーディングで音を重ねていくたびにどんどん劇的に変わり、あんなにいいものになった」

──田中さんの曲は〈田中さんの曲がいちばん好き〉ってタイプのファンがつきそうですよね。

悠平「まあ、普通に売れそうですよね(笑)」

一同「(笑)」

──自分の曲なのにすごい客観視してる(笑)。

ヤコブ「ストレートというか、シンプルというか」

岡本「僕も田中さんの曲のファンはいっぱいいると思います」

ヤコブ「個人的にも、そうなってほしいなと思いますね。〈他の人の曲はひねってるけど、結局あの人の曲がいちばん素直でよくない?〉みたいに」

谷江「確かに、ライブでも田中の曲をやってるのがいちばん楽しい」

――では、3人のいちばんのファンを自認する岡本さん。

岡本「今回だと、“それだけ”を気に入って聴いてます。ドラムがすごくよく録れたんです。今回は元バレーボウイズの武田(啓希)くんにドラムテックで入ってもらって、ドラムを調整してもらったり、機材をいろいろ貸してもらったりしたんです。その効果がいちばん出たのがこの曲かな。“近づく”もドラムがかなりやばい音になってますけどね。

あと、“それだけ”のギターソロはかなり熱い。まさにさっき田中さんが言ったようなハードロックを通過したソロで、個人的にかなりワクワクします」

『DOOM』収録曲“それだけ”。作詞作曲は田中ヤコブ

──ドラムを叩くときは歌詞も聴きますか?

岡本「家主では聴いちゃいますね。普段だと私はあんまり歌詞は聴かないんです。自分のバンドの歌詞を覚えてるのは当然なんですけど、家主は曲もいいし、歌詞もいいから」

 

ひずんだギターを一生懸命弾く

──では、ヤコブくんの推しを。

ヤコブ「なんだろう、すべてが推し曲という気持ちではいるんですけど、自分の書いた“それだけ”と、田中さんの“飛行塔入口”。あとは“近づく”ですかね。“それだけ”は、自分のなかで無駄を究極に省いた感じなんです。イントロもないし、2分半くらいの短さに自分の好きな要素を全部入れられた。僕も自分の歌詞はそんなに重要視してないんですけど、この曲では思ってることがわりとストレートに出たなと思います。ズバッといいストレートをインローに放れた感じ。

“飛行塔入口”の推しポイントは、まずは曲のよさ。田中さんからデモをもらったときにも、確実に伸びしろがあると確信したので、すごく興奮しました。曲調はわりと牧歌的な感じがデモにあったんですけど、12弦のアコギを入れたことで、今まで見えなかった情景が見えた。自分が思い描いていたアレンジができました。

“近づく”に関しては、ひずんだギターです。ああいうギターをメタ的、ギミック的にひずませるというのはわりと最近もあると思うんですが、一生懸命それを弾くことが最近あまりないと俯瞰して見ていて。自分は元々ひずんだ音が好きだし〈やっちゃえばいいじゃん〉みたいな感じがあった。自分でやってても痛快でしたね。エンジニアの飯塚さんにも〈もっと音を汚してほしい〉とお願いして、わりとみんなでハードルを乗り越えて作った感じがありました。

できた今となっては、もはやあのひずみを評価されないくらいでもうれしい、そのくらいが逆にいいかも。〈今まで聴いてきた家主と違う、うるさい〉みたいに言われてもいい」

──その自虐感(笑)。根底にあるDOOM感が出ますね。

ヤコブ「このサウンドが理解されなくても構わないですね。精進料理みたいな音楽で〈多幸感~〉みたいなのが合う人は全然そっちのほうがいいと思いますし。ずっとあぶれてきた人生なので、周りとの感覚のズレは今後も大事にしていきたいです」

──“近づく”はライブでやったらめちゃくちゃ盛り上がるんじゃないですか?

ヤコブ「さらにブチブチにひずませるでしょうね」

──ちなみに、僕は谷江さんの“夏の道路端”が好きですね。

悠平「いやー、めっちゃいい曲なんですよ!」

ヤコブ「俺も推したかった曲です」

『DOOM』収録曲“夏の道路端”。作詞作曲は谷江俊岳

──途中でいったん曲が終わったようなブレイクがあるんですけど、そこで終わらずにまたしぶとく始まるところが、まさに〈バンド〉と感じるんです。計算づくではわからないところで通じ合ってる。

ヤコブ「自分も谷江さんの2曲(“夏の道路端”、“にちおわ”)は限りなく推しにしたい曲でした。特に“夏の道路端”は谷江さんのカラーが強い曲なので、挙げていただいてうれしいです」

 

日常って素晴らしい、ではなく

──ヤコブくんはソロでやっていて、ソロの曲を家主でもやってほしいという声も多いでしょう? でも、こうやって家主のアルバムを聴くと、やっぱりソロとは違う世界観とバランスがはっきり存在しているとわかる。だから、そこをごちゃ混ぜにしたくない気持ちになるんです。今回『DOOM』を聴いて、それがさらにはっきりわかりました。願わくば、このアルバムが売れても一緒に川に行く4人であってくださいね。

谷江「売れた途端、バラバラになったり(笑)」

悠平「あの頃がいちばん楽しかったな、とか(笑)」

岡本「周りはみんないい大人ですからね。いつまでこんなことやってるんだって気持ちにもなりますけど(笑)。でも子供を育てながらバンドやってる先輩もたくさんいるし、関係ないと言えば関係ない」

──そういう意味で、家主の4人がスタジオやライブで集まったら普段の生活よりもあくまで音楽が中心になる。その感じが魅力じゃないですか?  みんながどんな生活をしてようがあんまり関係ない、不思議な純粋さがあるんですよ。

ヤコブ「そう言ってもらえて、すごいうれしいです。生活と音楽ってすごく密接な関係で成り立ってるものだと思うんですが、最近の大きな流れとして、音楽を聴いて〈日常って素晴らしい〉みたいな解釈に収斂してゆくことになんとなく違和感を感じていたんです。日常ってそんなに〈楽しい楽しい〉ばっかりかよ、そういうところにYESとは言ってないぞ、という作品に今回はなったかなとは思ってます。ファーストともそこは地続きだとは思うんです」

 


INFORMATION
〈未来ノ和モノ〉キャンペーン第24弾 家主

①〈未来ノ和モノ〉コラボポスター掲出
掲出店舗:タワーレコード/TOWERmini全店(全国74店舗)
※TOWERminiもりのみやキューズモール店を除く
掲出期間:2021年12月7日~2021年12月26日(日)

②〈未来ノ和モノ〉フリーペーパー 家主 特集の配布
配布店舗:タワーレコード/TOWERmini全店(全国74店舗)
※TOWERminiもりのみやキューズモール店を除く
配布開始日:2021年12月7日
※先着でお渡しし、なくなり次第終了
※誌面には〈未来ノ和モノ〉をテーマにしたショートインタビューやディスクガイドを掲載

③〈Mikiki〉ロングインタビューの掲載
タワーレコードが運営するミュージックレビューサイト〈Mikiki〉に家主のロングインタビュー(当記事)を掲載。

④抽選でメンバーの直筆サイン入り〈未来ノ和モノ〉コラボポスターをプレゼント
家主『DOOM』をタワーレコードおよびTOWERmini全店、タワーレコード オンラインでご購入いただいた方に、家主のメンバーの直筆サイン入り〈未来ノ和モノ〉コラボポスターが抽選で当たる応募抽選付ポストカードを先着で差し上げます。
応募締め切り:2021年12月31日(金)
※PC/スマートフォンからのご応募が必須です
※ご応募にはタワーレコードメンバーズへの登録およびレシート番号の入力が必要です
※応募抽選付ポストカードは、各店でなくなり次第終了になります

〈未来ノ和モノ -JAPANESE FUTURE GROOVE-〉とは
日本国内で活躍し、海外でも注目を集めているアーティストをタワーレコードのバイヤーが厳選してフックアップしていく企画。タワーレコード店頭でのコーナー設置はもちろん、フリーペーパーの発行や撮り下ろしポスターの掲出など、リアル店舗ならではのアプローチを展開中。

■コンセプト

そのサウンドは、機能性を損なわずに時代を超越する。
そのサウンドは、新たな機能性を見出だされ時代を超越する。
20年後、30年後、世界中の音楽ディガーに発見され、興奮し、
語り継がれる日本の音楽。
フロアを揺らす音楽。
決して消費される事のない音楽。
音楽はタイムマシン。
盤は回り、そのサウンドは未来へと繋がって行く。

 

RELEASE INFORMATION

家主 『DOOM』 NEWFOLK(2021)

リリース日:2021年12月8日(水)
品番:NFD-001
価格:2,750円(税込)

配信リンク:https://orcd.co/yanushi_doom

TRACKLIST
1. 近づく
2. NFP
3. にちおわ
4. 夏の道路端
5. 路地
6. たんぽぽ
7. めざめ
8. 飛行塔入口
9. それだけ
10. 老年の幻想
11. The Flutter

 

LIVE INFORMATION
“DOOM” Release Tour 2022

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -大阪公演-〈One Man〉
2022年2月19日(土)大阪・心斎橋 ANIMA
開場/開演:18:30/19:00
前売り/当日:3,300円/3,800円(いずれもドリンク代別)
前売チケット(2021年12月11日(土)10:00発売):チケットぴあ(Pコード:208-747)/e+

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -静岡公演-
2022年2月20日(日)静岡 Freakyshow
開場/開演:19:30/20:00
サポートアクト:herpiano
予約/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)より受付開始):会場予約フォーム

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -岡山公演-
2022年3月5日(土)岡山 PEPPER LAND
開場/開演:19:00/19:30
サポートアクト:マドベ
予約/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)10:00より受付開始):TIGET

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -名古屋公演-〈One Man〉
2022年3月6日(日)愛知・名古屋 今池 得三
開場/開演:18:30/19:30
予約/当日:3,300円/3,800円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)より受付開始):メール/電話(052-733-3709)/http://www.tokuzo.com/contents/tickets/

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -青森公演-
2022年3月19日(土)青森 SUBLIME
開場/開演:19:00/19:30
予約/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)より受付開始):TIGET

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -仙台公演-
2022年3月20日(日)宮城・仙台 FLYING SON
開場/開演:18:30/19:00
予約/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)より受付開始):会場予約フォーム

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -東京公演- <One Man>
2022年4月3日(日)東京・渋谷 WWW X
開場/開演:17:00/18:00
前売り/当日:3,300円/3,800円(いずれもドリンク代別)
前売りチケット(2021年12月18日(土)10:00発売):チケットぴあ/e+

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -松本公演-
2022年4月9日(土)長野・松本 MOLE HALL
開場/開演:18:00/18:30
サポートアクト:コスモス鉄道/TANGINGUGUN
予約/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
予約(2021年12月11日(土)10:00より受付開始):TIGET

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -札幌公演- <特別編>
2022年4月16日(土)北海道・札幌 SPiCE
開場/開演:17:30/18:00
ゲスト:台風クラブ
前売り/当日:3,300円/3,800円(いずれもドリンク代別)
前売りチケット(2021年12月11日(土)10:00発売):e+

家主 “DOOM” Release Tour 2022 -京都公演-〈特別編〉
2022年4月29日(金・祝)京都 磔磔
開場/開演:17:00/18:00
前売り/当日:3,300円/3,800円(いずれもドリンク代別)
ゲスト:台風クラブ
前売りチケット(2021年12月11日(土)10:00発売):チケットぴあ(Pコード:208-556)/e+

 


PROFILE: 家主
ソロアーティスト/ギタリストとしても活躍する田中ヤコブ(ボーカル/ギター)を筆頭に、3人のソングライター/ボーカリストを擁する4人組ロックバンド。aiko、澤部渡(スカート)、須田亮太(ナードマグネット)、曽我部恵一(サニーデイ・サービス)、トクマルシューゴ、直枝政広(カーネション)をはじめ、数多くのアーティストや音楽ファンからそのメロディアスで優れた楽曲とアレンジ、熱い演奏を絶賛されている。2019年リリース のファーストアルバム『生活の礎』は〈タワレコメン〉に選出され、楽曲“ひとりとひとり”は田村真佑(乃木坂46)の個人PVに使用された。