aikoが16作目のアルバム『残心残暑』をリリースした。2024年は、ツアー〈Love Like Pop vol.24〉を終えたかと思えば、劇場版「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」の主題歌“相思相愛”でファン層を拡大、またフリーライブ〈Love Like Aloha〉の6年ぶりの開催とツアー〈Love Like Rock vol.10〉の実施も発表、さらにaikoに密着した「情熱大陸」の放送も決定するなど、いつも以上にハードワーキンな〈aikoの年〉になっている。

今回は新作のリリースを記念して、レーベル・NEWFOLKの協力のもと、aikoの音楽を愛する山本啓太(台風クラブ)と田中ヤコブ(家主)に、〈aikoと私〉をテーマにコメントを特別寄稿してもらった。タワーレコードのスタッフたちによる記事とともに楽しんでほしい。 *Mikiki編集部

aiko 『残心残暑』 ポニーキャニオン(2024)

 

山本啓太(台風クラブ/映像監督)

aikoとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとサニーデイ・サービスに僕は人生を狂わされました。みんな僕のスターです。

その中でもaikoとの出会いは、ラジオから流れてきた“あした”。もうマジで自分がスター見つけた気分になったのを覚えてます。

その後は地道にaiko普及活動をしておりました。僕が暮らす大阪ではミッシェル、↑THE HIGH-LOWS↓、メロコア、青春パンク、ギャルがとにかく全盛期。

aiko共々『小さな丸い好日』の時期は不遇でした。日陰者の僕にはクラスを変える力はなかった。今はサブスクやら色々聞く手段はあるのでぜひ聴いてほしい。ほんまに名曲揃い。“オレンジな満月”“恋堕ちる時”とか最高。

その後やっと“花火”が売れ“カブトムシ”が売れ、『桜の木の下』が発売した時はaiko好きが周りにも増えました! 僕は嬉しいのと同時にざまぁみろ!と。aikoは最高の音楽を作るスターなんだよ!!と。ラジオも聴き、ファンクラブに入り、ライブも行き、アルバムもシングルも『秘密』が出る頃までは買い続けておりました。

『秘密』が出た頃ちょうど僕も社会人になり映画の助監督生活が始まりました。仕事が忙しくて唯一aikoから遠ざかってしまった時期。僕はお酒に溺れ、彼女とも別れ、借金だらけ。そんな時にaikoがアルバムを出すと。久々にふと手にした『泡のような愛だった』。その中の“透明ドロップ”を聴いた時、ゲロ吐くほど泣きました。

そんなこんなで無事aiko生活は復活! そこからは何故か僕がバンド・台風クラブを始め、あのaikoがラジオで紹介してくれたり、「Mステ」で台風クラブのTシャツ着てる写真を出してくれたり。最近だと台風クラブと共に、友人のバンド・家主を夏のプレイリストに入れてくたりもうほんまに嬉し過ぎて気持ちが追いついてません!

考えたらaikoがオススメしてたKAN、THE COLLECTORS、ザ・ディーズメイト、チバユウスケが紹介してたレコード、曽我部さんが見てた映画とかで僕の人生は始まったなあと。いつの日かaikoのMVを監督したり、対バンするまでは長生きしようと思います。

PROFILE: 台風クラブ
京都発、日本語ロックの西日。石塚淳(歌とギター)、山本啓太(ベース)、伊奈昌宏(ドラム)の3人組。2013年に結成、2014年より現在のメンバーで本格的に活動を開始し、2017年に1stアルバム『初期の台風クラブ』、2023年に2ndアルバム『アルバム第二集』をリリース。