家主のメイン・コンポーザーとしても評価を固めている田中ヤコブの新作は、ゲストを迎えて制作したサイドAと、みずからの演奏・録音のみで制作したサイドBの2枚組・全20曲の大作。ピアノやストリングスを用いて構築的な側面のある前者と、全体的にラフに仕上げられた後者という対比がありつつ、厭世的なのに清々しいポップ・マエストロとしての魅力は全曲に通底している。