目の覚めるような爽快感が駆け抜ける“All the little Things”で幕を開ける通算11作目。サウンド作りの相棒にShigekuniを迎えた本作からまず伝わるのは、オルタナ的なるものとポップス的なるものの境界線をぼかしつつ新たなテクスチャーを創出しようとする意思。結果、儚げな歌声と美しい不協和音が絡み合う“衝撃”やフリーキーなガール・ポップ“UtU”など刺激的な多様性をもたらすことになったが、すこぶる見晴らしが良くて調和のとれたサウンドスケープが広がっており、かねてより音源化が望まれていた“少女小咄”などもすんなり収まっている。何かと気持ちをかき乱す現実の出来事が曲作りに反映している節も窺えるけれど、突破口をこじ開けたいという意気盛んな姿が垣間見られて頼もしい限り。