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いまだからこそ歌える内容

 そんな『PARADISE GATE』の扉をフュージョン気分の意匠で鮮やかに開く“Precious Flight”は、PellyColoのクロスオーヴァー全開なアレンジが光る朝焼け系の一曲。プレシャスな空の旅へ誘う雰囲気はジャケともリンクして、アルバムの搭乗口としての役割を果たしている。

 「これはリファレンスもなく、歌詞とメロに仮のコードを付けてPellyColoさんに渡して仕上げていただきました。Aメロ~Bメロ~サビみたいな構成じゃない、少し変わった展開になって、たぶん歌としては弱いかもなんですけど(笑)、予想もしてなかったアレンジでカッコ良くしてもらったので、これはホントにPellyColoさんあってこその曲ですね。歌詞では〈追い求める理想とは違っても、君さえいればこの人生はプレシャスなんだよ〉っていう意味を込めています」。

 同じくPellyColo編曲の“Sweet Pain”も同時期に生まれた曲で、こちらは伸びやかな歌い回しと大らかなメロディーラインが、自然体のHALLCA節で実に心地良い。

 「これはキーボードを弾きながらとかでもなく、普通に寝る前に鼻歌で書いたような曲で、ホントにすぐ出来たんですよ。だから、自分の中のメロディーが素直に出た曲かもしれないです」。

 その他の楽曲はアルバムの輪郭を見据えながら仕上げられたもの。「歳を重ねたいまだからこそ歌える内容」という歌詞も印象的なタイトル曲“Paradise Gate”は弾けるビートと小気味良いホーンが牽引するアップで、東新レゾナントの都会派サウンドとHALLCAの相性の良さもオリジネイターとしての余裕を見せつける。

 「“Paradise Gate”はいちばん最後ぐらいに貰ったのかな。これは東新レゾナントさんのトラック先行で私がメロと歌詞を付けたんですけど、聴いた瞬間に〈あっ、アルバムの表題になるような曲だな〉って思ったんですよ。それで、この曲名とアルバム・タイトルを一緒に決めました。ノリ的にもこの曲でアルバムがまとまった感じはあって、東新レゾナントさんの曲があるとやっぱりアルバムが締まるというか、全体がヴァラエティー豊かな感じになったかなって思います」。

 東新レゾナントによるもう1曲“Spiral”も彼らしいグルーヴィーな仕上がりで、意外にもソロではありそうでなかったバリバリのジャズ・ファンク。これは日常生活における人間関係の難しさやコロナ禍の状況への鬱憤を男女関係に置き換えて描いたものだそう。

 「そういう実体験があるわけじゃないです(笑)。ここ数年の苛立ちみたいなものを男女の話に落とし込んでいて、自分では初めて喜怒哀楽の〈怒〉を詰め込んだ曲になりました。ここまでファンクな感じはソロでは初めてだし、めっちゃカッコ良くて貰った瞬間ビックリしましたね。バンドでやっても映えそうだなって」。