2023年ももうすぐ終わり。2021年2022年に続いて、今年もタワーレコード/TOWER VINYLのアナログ好きなスタッフに、〈マイベストレコード〉を選んでもらいました。買い逃していた盤、聴き逃していた作品は、年末年始にお近くのタワレコ各店舗やタワーレコード オンラインでぜひ手に入れてください。読者のみなさんも、レコード棚を眺めて今年のベストバイを選んでみてはいかがでしょうか?

そして今年も一年間、Mikikiをお読みいただきありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。 *Mikiki編集部

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平井篤紀 (新宿店)

久石譲, ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA 『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』 Deutsche Grammophon/ユニバーサル(2023)

2023年の夏に、宮﨑駿監督の約10年ぶりとなる長編映画「君たちはどう生きるか」が公開された。美しく、不思議で、死と生の匂いがする映画でした。サントラはもちろん久石譲。ただこれまでの宮崎作品とは違い、ミニマルで現代音楽的なサウンドが印象的でした。

そんな久石譲がグラモフォンと契約を結び、リリース第1弾として発売されたのが『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』です。久石譲自ら指揮を執り、ロイヤル・フィルの壮大で甘美なオーケストラサウンドで、「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」までの10作品の劇中曲を新規アレンジで演奏。スタジオジブリ作品(特に宮崎駿作品)を繰り返し見て育った僕にとって大歓喜! 今年はあまりレコードを買いませんでしたが、家でも外出先でも一番聴いたのがこのレコードでした。

 

熊谷 祥(新宿店)

THE EVERETTES 『Soul Steps』 Waterfall(2023)

ドイツ・ベルリンから古き良き60年代ソウルミュージックのエッセンスを極上サウンドで聴かせてくれるネオヴィンテージグループ、ジ・エヴェレッツの最新作。勢いよく鳴り響くホーンセクションで一気にセピア色の世界に連れていかれる⓵から、続けざまにノーザンソウルやモータウンの雰囲気を感じさせてくれる②③と冒頭3曲でアルバム全体の完成度を示してくれます。60sソウルに加えてキャロル・キングやカーペンターズを始めとしてソフトロックの要素も多分に含み、キャッチーなコーラスとだらけず引き締まったバンドアンサンブルでロック/ポップスファンにもアピール出来る素晴らしい楽曲の数々。欧州ソウルの才人ジョエル・サラクラもゲストで参加。アナログジャケットの飾られている味のある喫茶店でかかっていたら雰囲気抜群でしょう。豊作だった2023年の中でも特にオススメしたい1枚。

 

TANAKAHMANN(新宿店)

芸能山城組 『Akira: Symphonic Suite』 Milan(2017)

2023年はもっぱら自宅堀りで再発見したレコードばかり聴いてました。盤によってカートリッジをアレコレ換えたり相変わらずのインドアな音楽ライフでしたが、そんな最中に真夏の新宿副都心で聴いた芸能山城組の生演奏には完全に持ってかれました! いまや海外人気もスゴイ事になっている『Akira: Symphonic Suite』の収録曲を中心としたセットリストは圧巻の一言で、竹ガムラン=ジェゴグの演奏による“金田のテーマ”にシビレながら、ふと雨上がりの夏空を見上げるとそこには高層ビルの谷間を低空飛行のジェット機が轟音をたてて通過中……。まさに「AKIRA」の世界観そのまんまを体験させて頂きました。

ちなみにオーディオマニアやアンビエント好きの方、新宿NEWoManエントランスでは芸能山城組の組頭・山城祥二こと大橋力氏によるハイパーソニックサウンドスピーカーが体験できますので是非。