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キッズ声の2006年版ブラディ・バンチ“HALFBEAT”

セカンドシングルでは、東京に移住した竜樹くんが忙しくなり、当時の僕には遠隔で作業できるほどの脳とスキルが無かったのもあって、当時RufusとしてSECOND ROYALからリリースしていた上田(修平)くんに作業を引き継ぎ。“HALFBEAT”からLogicのマニピュレーター兼マルチプレイヤーとして上田くんを迎え、HALFBY第2期に突入していきます。

そう言えばこの頃は一旦竜樹くんの家からSECOND ROYALの事務所に機材を移してレコーディングしていました。四条烏丸の交差点付近の雑居ビルというかホストやホステスの休憩場になっているような8畳?のワンルームマンションに、多いときはレーベル社長の小山内とデザイナーのハヤシ(ジュン、現80KIDZ)と上田くんと僕がいたりして、メジャーなのにって思いながらの作業だったけど、何だかそれも込み込みで楽しい時期だったなーと今では思います。京阪三条駅から事務所までスケボーで通ってました。

そんな感じで“HALFBEAT”は、各タレント事務所から英語堪能なハーフの子供たちが歌う“きらきら星”が入ったカセットテープを送ってもらい、それを聴いて男女2人ずつをピックアップするところからレコーディングがスタート。人生初の作詞と仮歌に挑戦したデモを使用し、各自練習の末に東京の有名スタジオにイン。子供たちの体力も考えて数時間でレコーディングは終了しましたが、終盤には一番歳下の男の子がグズってふにゃふにゃ歌い出し、結果良いハーモニーパートに。

かくして2006年版ブラディ・バンチ(The Brady Bunch)を目指した“HALFBEAT“は、ジャスティス(Justice)の“D.A.N.C.E.”より早かったキッズものとしてその後のHALFBYのキャラを定着してくれましたし、売り上げも”SCREW THE PLAN”を上回りました。Perfumeののっちさんも雑誌で紹介してくれたり。

『SIDE FARMERS』収録曲”HALFBEAT”
 

レコーディング中の子供たちの練習や私語も別トラックで録り続けた山盛りのガヤ素材は、20年以上経った現在も、HALFBYといえばのシグネチャー素材としてクライアントワークには欠かせなくなりました。4曲入りのCDシングルに収録したセルフリミックスのタイトルはアメリカのKレコーズを主宰するカルヴィン・ジョンソンがフロントマンを務めたビート・ハプニング(Beat Happening)を捩った〈HALF BEAT HAPPENING MIX〉でした。

ホロウェイズ(The Holloways)の2005年のシングル“Generator”
2005年リリースでプレイリストには収録できなかったのでこちらにて紹介。テムズビート屈指のヒット曲としてメジャー盤で再録されたり、〈SUMMER SONIC〉で来日したりしてる間にダサい感じになっちゃったのは残念だったけど、やっぱりこの曲はシーンを象徴した重要曲だったはず。アルバムで更にクラッシュ化すればイギリスでも人気が出たんだろうか? ポップでも全然良かったよね

 

ピチカート・ファイヴ、カジヒデキ……忘れられないリミックス仕事

シングル制作の間にもリミックスなどをテキパキこなしましたが、この間に起こった最も重要な出来事と言えば、2006年にピチカート・ファイヴをリミックスしたこと。正確にはピチカートのコロンビア音源のみを使用したメガミックス/コラージュアルバム『pizzicato Five We Dig You』へ参加したこと。

僕のリミックスは“Pizzichannelesson 5~HALFBYの女性上位時代”と名付けたのですが、その名の通りTVチャンネルの切り替えコラージュ風に仕上げた前半と、女性上位時代の音源を俺的Lesson 3化した後編の2部構成。尊敬する小西(康陽)さんから直々のオファーだったのが感動的に嬉しかったのもあり、とにかく時間をかけてがんばったので、間違いなくこの世に残されたHALFBYベストリミックスになったと思います。

リミックスアルバムの堂々1曲目に収録されたこと、当時の小西さんのブログで森野くん(HANDSOMEBOY TECHNIQUE)のリミックスのことと合わせて〈感動した〉と書いてもらったこともあり、今まで音楽やってて良かったなと男泣きしました。小西さん、コロンビアの担当者さま、是非配信しましょう!

それから2007年に作った、カジ(ヒデキ)くんの代表曲“LA BOUM~My Boom Is Me”の7インチにカップリングとして収録されたリミックスも思い出深いです。高校1年の夏、当時の彼女に誘われて天保山までブリッジのライブを観に行ったときからベースなのに一番人気のあったカジくん。青森のフェスで雑魚寝の宿舎に一緒だった際、〈もらったTシャツ着てるよ~〉とHALFBY Tシャツを思いっきりパジャマにして寝た無邪気なカジくん。そんな愛すべき大先輩カジくんのスーパーヒットシングルを最高の形&ZESTの後輩としての意地を込めた、俺にしかできない80年代UK魂 × テムズビート × アイリッシュなバーストリミックスで後世に残るものに仕上げられて、自分的にもめちゃくちゃにグッっときました! カジくん、マネージャーの竹田さん、是非配信しましょう!

ラリキン・ラヴ(Larrikin Love)の2006年のシングル“Happy As Annie”
カジくんのリミックスは完全にこれがモデル。これも2006年リリースのためプレイリストに収録できず。来日ライブも観に行ったけど、ラリキンはステージのカーテンにくるまったり甘えん坊プリンスキャラが炸裂していて、黄色い声援も起こってニュースターの誕生を目撃した気でいたんだけど、その後の活動は少なく短命に終わってしまった。儚い。美しい
 

あとはゴー・チーム(The Go! Team)の来日記念盤のリミキサーとしてCorneliusと僕が選ばれたのも非常に熱かった(CorneliusとHALFBYが最も接近した瞬間!)です。リミックスも最高なので是非配信を!