2021年7月より、アップアップガールズ(仮)がダイノジとタッグを組んでアーティストから楽曲を募集するコンテスト、その名も〈アプガのヤバイ楽曲コンテスト〉を実施。その結果、ミクスチャーバンド・STUDYWHOと、ボカロP・やすごもりが見事優秀賞を獲得し、2組を含む入賞者による6曲は、1月にリリースされたミニアルバム『アプガヤバイ』に収録された。今回は優秀賞の副賞として、STUDYWHOとやすごもりの両アーティストが、アプガ(仮)メンバーと行った対談の模様を掲載。第1弾は、やすごもりが関根梓、鈴木あゆ、青柳佑芽、鈴木芽生菜の4人と楽曲の制作秘話を語り合う。 *Mikiki編集部

アップアップガールズ(仮) 『アプガヤバイ』 T-Palette(2022)


〈そういえば応募してた……〉

 ──やすごもりさんが作られた“今日も私が冴え渡る”が〈アプガのヤバイ楽曲コンテスト〉の優秀賞に選ばれましたが、率直な感想を聞かせてください。

やすごもり「自分の作品が、初めて世の中にちゃんとした形でアウトプットできて素直にうれしいです!」

アプガ(仮)「おめでとうございます!!」

──では、やすごもりさんの自己紹介をお願いします。

やすごもり
 

やすごもり「やすごもりと言います。大学に通いながら今はYouTubeで主に活動しています。楽曲制作、MV制作、自分で絵も描けるのでアニメーション制作を行ってます。最近はボカロの活動も始めました。曲作りは2人体制で、僕が作詞作曲して友達がミックスをするという形になってます」

──音楽制作を始めたきっかけを聞かせてください。

やすごもり「高校受験の時、勉強に嫌気がさして独学でギターを始めてからどんどん音楽にのめり込んで自然と曲を作るようになっていきました。一番最初にちゃんと曲を作りたいと思ったのが、高校の運動会の時期でした。チームのリーダーをやってる友人が運動会直前でケガをしてしまって、自分は出られないけどリーダーとしてチームを引っ張ってくひたむきな姿を見て、何かかけてあげられる言葉はないかなと思ったんです。それでクラスの友達と曲を作ってプレゼントしたら、友人が泣いて喜んでくれたんです。その時に、自分の音楽で人を感動させたいなと思って今の活動に至りました」

──では、やすごもりさんが〈アプガのヤバイ楽曲コンテスト〉に応募したきっかけは?

やすごもり「Musicmanというサイトで見たんです。僕は楽曲コンテストを見つけたら、四の五の言わずに応募しまくろうって決めてて、このオーディションもそうした中のひとつで送っていたんです。なので〈アイドルの楽曲になります〉って合格メールが来た時に、一瞬〈え?〉となってしまったんです。〈そういえば応募してた……アイドルの曲になるんだ!〉って思ったのが率直な感想です(笑)」

アプガ(仮)「アハハハ(笑)!!」

──よく分からないけどとりあえず応募してたと(笑)。

やすごもり「そんな感じでした(笑)。本当にごめんなさい!」

アプガ(仮)「いえいえいえ(笑)」

──アプガ(仮)には、どんな印象を受けましたか。

やすごもり「僕はアイドルに全然詳しくないんですが、友達がアプガ(仮)さんを知ってて、勧められた楽曲を聴いたらすごくいいなと思いました。自分が一番に思ったのは、自分と同い年、同世代の人たちが活躍してるんだということ。素直にすごい励みになりました。僕は先日21歳になったんです」

アプガ(仮)「えー!!」

関根梓「若い!!」

鈴木あゆ「メンバーの工藤菫と同い年ですね。曲を聴いた時にすぐ共感したんですけど、作ってる方自体に同世代って共感性があったことに驚いてます(笑)」

 

相手が自分のことを覚えてなかったとしても、素直にその人の成功を祝いたい

──では、“今日も私が冴え渡る”はどんなテーマで作られたのかを聞かせてください。

やすごもり「これは大学受験がテーマだったんです。僕が通ってた高校が進学校で、目指す大学のために浪人する友達が多くいたんです。僕は浪人するメンタルがなくて、第一志望は諦めて第二志望の大学に行ったので、受験に妥協があった思い出があるんですよ。でも、周りの友達は目標のために地道に努力してて、そのひたむきな姿勢がすごくかっこよくて。1、2年経って、〈行きたい大学に行けた〉〈医学部に行けた〉って話を聞いて、素直に祝福したいって思いでこの曲を作りました」

アプガ(仮)「へ〜〜」

やすごもり「あと、この曲のサビに〈アノニマスからの叫び出すほどの歓喜を届けるよ〉ってフレーズがあるんですけど、そこについて話したいです。アノニマスは、正体不明、匿名って意味があるんです。20歳超えると昔の友達のフルネームが言えなくなる、どんどん思い出が褪せていくって経験があると思うんですけど、逆に、友達に自分が忘れられていくってこともあると思うんですよ。でも、ふとした時に友達のことを思い出して、〈あいつどうしてるんだろう?〉って思ったりするじゃないですか。その感じもこの曲に込めたんです。たとえ相手が自分のことを覚えてなかったとしても、素直にその人の成功を祝いたいって思いを込めてこの曲を作りました。それと受験に限った話じゃなく、他人に対して何かを祝いたいって時は、たぶんみんなこんな感じのことを考えるんだろうなっていうのもテーマにありました」

──なるほど。メンバーのみなさんはこの曲からどんなことを感じましたか。

青柳佑芽
 

青柳佑芽「私は曲をいただいて、憧れの人のことを思い浮かべながら歌ってたんですよ。だからお話を聞いて、あながち間違ってなかったなと思ってちょっとうれしくなりました」

──青柳さんは誰を想像したんですか。

青柳「(アプガ(仮)の元メンバー)古川小夏さんです!」

関根「オイ(笑)」

鈴木芽生菜「私は歌詞の言葉遊びが好きで、〈この差異はどうでもいいからさ〉ってフレーズの、〈さい〉が〈際〉と〈差異〉の2つの意味があるところがすごく好きです。歌詞が全体的に、真っ直ぐな伝え方と、聞き手に考えさせてあげる感じもあってすごくいいなと思いました」

あゆ「人を思う気持ちが込められた曲なんだと分かって、なるほどなって思いました。それって、アイドルに対してのファン心理と同じだなと思いましたね。私自身アイドル大好きな人間で、私はただただ応援してアイドルの子が夢を叶えてほしいってタイプのファンなんです(笑)。〈君の中の僕がどんなかなんて この差異はどうでもいいからさ〉ってフレーズがまさにそれだなって。私、この曲を聴きながらAKB48さんが紅白落選したのを聞いて泣いたんです」

一同「(笑)」

あゆ「それくらい感情移入できる曲なので(笑)、ライブでもいろんな人に対する思いを込めて歌わせてもらってます」

関根梓
 

関根「音階の話なんですけど、この曲って、歌い手が力を入れて伝えたい歌詞に合わせてメロディーもグッと上がるんです。積極的に思いを込めて届けられる歌だなって感じましたね。歌詞に関しては、自分が奮い立つような気持ちになれました。去年アプガ(仮)は、新体制の8人で気持ちも新たにまた1からやってきたんです。1年間大変なこともあったけど、もっとみんなと奮起していこうって思わせてくれた楽曲ですね」

──メンバーの感想を聞いて、やすごもりさんはどう思いましたか。

やすごもり「ここまで自分の感じた気持ちを言語化していただいて、本当にこの曲を作ってよかったな、みなさんに歌ってもらえてよかったなって今本当に思いました。僕、ちゃんと曲のフィードバックを受けたことが今までなかったんです。こういうところで心揺さぶられたんだとか、みなさんそれぞれの解釈を聞けたのが新鮮ですごくうれしかったです」

──完成した音源を聴いての感想は?

やすごもり「まず思ったのは、楽曲制作の勉強にすごくなりました。自分が作った楽曲がアイドルの曲として歌われるとこういうアレンジになるんだって思いましたね。あと、僕の本家の音源をすごく聴いてくださってるなってすぐ分かりました。発音のニュアンスとか歌い方がばっちり合っててうれしかったです。なおかつみなさんが自分のオリジナリティーを出されてて、さすがだなって思いました」

 

ひたすらパワフルに明るく元気に歌ってほしい

──では、アプガ(仮)のみなさんから、やすごもりさんへの質問タイムに入りましょう。

鈴木芽生菜
 

芽生菜「〈先へ前へと言われたんならさ 一度立ち止まって欲しいんだ〉って歌詞があるじゃないですか。一般的には、止まらず進もうって書かれることが定番だと思うんですけど、一度立ち止まるって矛盾みたいな言葉が生まれたきっかけが何かあったんですか?」

やすごもり「視野狭窄みたいな話ですけど、人って必死になると周りのことが見えなくなると思うんです。例えば、受験勉強で学力をあげるために必死になると、睡眠時間を削ったり休憩取らなかったりってなってしまったりする。でも、冷静になると休憩って大事だよね、睡眠ちゃんと取らないとパフォーマンス下がっちゃうよねっていうのが分かるんです。なので、がんばる時ほど休むこともちゃんと考えてねって思いもそこに込められてます」

芽生菜「なるほど。もう1個いいですか? やすごもりさん的には、〈この曲をどういう風に私たちに表現して欲しい〉っていう理想はありますか」

やすごもり「この曲の世界観は、僕のYouTubeのMVを見ていただけると分かると思うんですが、ひたすらパワフルに明るく元気に歌ってほしいって思います」

芽生菜「分かりました。任せてください(笑)!」

関根「普通に訊きたい質問なんですけど、生きてて立ち止まってしまった時の回復方法って何してますか?」

やすごもり「僕は、そもそもがんばり続けることの方がありえないと思うタイプなので、こういう時もあるよねって思うようにしてます。昔は立ち止まっちゃった時とかは、アニメを見るとか寝るとかひたすらしました(笑)。話が逸れるんですけど、僕は歌詞を作る時にアニメの引用がめちゃ多いんです。〈今日も私が冴え渡る〉ってタイトルも、アニメのドラマCDのセリフから取ったんです。一応、著作権関係のところに連絡して確認して、大丈夫だったので使いました(笑)」

関根「偉いです!」

青柳「この曲を聴いた時に、普通に好きな曲調だったんですよ。私はボカロが大好きだったんですけど、やすごもりさんがどんな音楽を聴いて育ってきたのか教えてください」

やすごもり「初めはBUMP OF CHICKENとかRADWIMPSとかが好きでした。曲作りをしていく中で、自分は歌がそんなに上手くないってことに気づき(笑)、オケの部分を聴いてもらおうと思ったんです。ボカロって、声の表現が人間よりも劣る分、オケの部分でどういう音を使うかがすごい工夫されてるんです。それでボカロをすごい聴き始めたんですよ。ボカロだと、Orangestarさんが一番好きです」

青柳「私も好きです! 私も歌が下手なんですよ(笑)。ボカロばかり聴いてきたから歌の感情の入れ方が分からなくて。でも、この曲を歌う時に、やすごもりさんの歌ってるバージョンと初音ミクが歌ってるバージョンを両方聴き比べて、ボカロの曲ってこう歌えばいいんだってすごく勉強させていただきました」

鈴木あゆ
 

あゆ「やすごもりさんは、曲のインスピレーションってどこから湧いてくるんですか?」

やすごもり「基本はアニメが多いんですけど、歌詞とかメロディーが一番浮かぶのは自転車を漕いでる時なんです。自転車に乗ってる時って、すごくいろんなこと考えちゃうんですよ。自転車も運転しなきゃいけないし考え事もしてるって、リソースの配分でうまい具合にアイデアが湧くみたいです(笑)」

あゆ「私も自転車漕ごうかな(笑)」

関根「いいな〜、自転車乗れて」

──そこですか(笑)。逆にやすごもりさんからメンバーに聞いてみたいことは?

やすごもり「じゃあ、みなさんの一番好きなフレーズを聞きたいです」

関根「私が歌ってる〈中には風に乗っかって 上手く遠く飛んだ奴もいた 君はどうやらそのパターンじゃないらしい〉ってとこがすごく好きです。そこを歌う時は、アイドルを16年やってきた自分に置き換えてるんですよ。周りには華やかにデビューできた子たちもいて、どちらかというと私はその子たちを見送ってた立場の人間だったんです。この曲を歌う時は、かっこいいライバルの背中を見てきたからこそ、次こそは自分も花咲かせてやるぞって気持ちで歌ってますね」

青柳「私は、〈泥臭く道を切り開くそんな君に憧れていたんだよ〉ってところがすごく好きです。私は道を切り開いてくださった先輩がいたから、私もオーディションを受けてアプガ(仮)に入ったんです。なので、そこにすごく共感してパフォーマンスしてます」

芽生菜「やっぱり〈先へ前へ〜〉のフレーズが好きですね。私は大学で心理学を学んでるので、心に寄り添うことが多いんです。人の相談を受けた時に、自分も〈今は心が忙しい時だから、一回休むのも大事だよ〉って言葉を使うんです。そういうメッセージを、自分たちの曲としてみなさんに届けられることがうれしいですね」

あゆ「私はさっき言った〈君の中の〜〉ってところです。私自身は、人にどう思われるか結構怖いタイプなんです。でも、この一言で自分の気持ちを肯定してもらえた感じがしたんです。躊躇なく言っていいんだなって思える、素敵な言葉ですね。普段、自分が怖気づいた時も元気もらってます(笑)」

──メンバーの声を聞いて、改めてどんな思いがありますか。

やすごもり「いや〜、感無量です(笑)。本当に、この曲をみなさんに歌っていただけてよかったです。それに尽きますね」

──では、最後にお互いのエールの交換をお願いします。

やすごもり「音楽を通して人を感動させることが自分もアプガ(仮)さんも夢なので、より多くの人に感動を届けられるようにお互いがんばりましょう」

関根「今回コンテストを通して、やすごもりさんと携われることができて、すごく自分たちが届けやすい、歌いやすい、気持ちも込めやすい楽曲だと本当に思えたんです。なので、今後コンテスト関係なく曲を事務所の方に送っていただけたらと思いました(笑)」

芽生菜「それは本当に思いました。もし機会があったら、またやすごもりさんの音楽に乗せて歌を届けたいなと思いました。音楽の道を諦めず、ともにがんばりましょうって気持ちが強いです」

あゆ「また曲作ってほしいです!」

青柳「いつかボカロPとして絶対バズると思うのでがんばってください!」

やすごもり「がんばります! めちゃめちゃ励みになりました。ここ最近で一番幸せな時間でした(笑)」

一同「ありがとうございました!!」