2022年2月18日に東京・鶯谷の東京キネマ倶楽部で開催された〈Reiny Friday -Rei & Friends- Vol.13〉。Reiがリスペクトするミュージシャンフレンズと共にセッションを披露するシリーズの第13回に招かれたのは、シンガーソングライターの奇妙礼太郎だ。初の弾き語りライブとなった〈Vol.13〉で、共鳴し合う〈ダブルレイ〉はどんな歌と音を響かせたのだろう? Reiの活動を初期から追っている音楽ライターの内本順一が当日の模様、そしてReiの新たなモードについて綴る。 *Mikiki編集部
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東京キネマ倶楽部でのライブとなれば、下手のサブステージを出演者がどう活かすかもひとつのポイント。初っ端、Reiは傘をさし、ギターケースを持ってそこに現れ、赤や水色や紫のビニール傘といくつものギター、バスドラひとつが置かれたメインステージへと続く階段を降りていった。雨音(のSE)が聞こえるなか傘をたたみ、ケースを開けてギターを出し、椅子に座って、「こんばんは、Reiです」。アコギで弾き出したのは〈Reiny Friday〉恒例の開幕曲“Rainy Monday Blues”だ。
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その曲を終えると上手に動き、“星に願いを”(ディズニー映画「ピノキオ」主題歌で、多くの音楽家にカバーされているジャズスタンダード)のさわりだけ弾いて自身の“Categorizing Me”へと続けた。そうか、“Categorizing Me”もちょっとした、でもとても大事な願いの歌だったもんな。と、そんなことを思いながら静かに引き込まれていった〈Reiny Friday -Rei & Friends-〉。Reiが毎回友人ミュージシャンを招いて演奏するライブシリーズ〈Reiny Friday -Rei & Friends-〉の13回目だ。
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「キネマ倶楽部は何回もライブを観に来ている場所。初めてライブを観たのもここで、それはEGO-WRAPPIN’と吾妻光良さん。いつかここでライブができたらいいなと思いました」。そう話すReiのソロステージ前半は、藤原さくらとの“Smile!”、長岡亮介との“Don’t Mind Baby”とコラボシングル曲を続けもしたが、ひとりで弾き語れば醸し出される雰囲気も変わるもので、どちらもカントリー味と軽快さのあったオリジナルよりも歌詞に込めた願いのようなものが繊細に伝わってきた。
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そして“my mama““Route246”で温度を上げたあと、この夜のフレンドをステージに呼び込む。「奇妙礼太郎!」。名前を呼ばれ、サブステージに現れた奇妙はそのまま少しの間そこにいて、「降りておいで」とReiに促されてメインステージへ。「あそこからの登場はちょっと面白いよね」と言うReiに、「慣れるもんじゃないよね」と奇妙。
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彼の1曲目は昨年発表したEP収録のバラード“Life is Beautiful”で、それはその曲が大好きなReiからのリクエストだったようだ。話しているときはどこか照れくさそうでシャイな性格が出まくる奇妙だが、歌いだしの一声で会場の空気が変わる。淡い温かみと壊れやすさの両成分を含んだ、静かなる迫力を有する歌声。ああ、稀有なシンガーであるなと改めて自分は思ったし、観客みんながそう思ったはずだ。演奏を終えた際にReiも思わず「いやぁ、美しいものを見てしまった」とつぶやいたほど。