2022年5月21日、Reiが、〈Rei Release Tour 2022 “QUILT”〉のツアーファイナル公演を東京・EX THEATER ROPPONGIで行った。ニューアルバム『QUILT』をリリースするやいなや全国を回り、7公演を駆け抜け東京に帰還したReiのパフォーマンスは、強力なバンドメンバーたちとの息の合った演奏もあいまって、パッションがほとばしる実にパワフルなものだった。ここでは、音楽ライターの内本順一が、当日の〈ブチあげ〉な熱気を伝える。 *Mikiki編集部
過去一番にラウドな火の玉ロックライブ
4月13日にリリースされたアルバム『QUILT』を聴いたとき、自分のなかで次のライブの期待値がグッとあがった。“Smile!”や”ぎゅ”などReiのなかのガーリー成分が出ている可愛らしい曲もあったが、それ以上にロッカーまたはファンカーとしての面が前に出た曲が強力なインパクトを持って鳴っていたからだ。”BLACK BANANA””LAZY LOZER”を始め、これまでにもライブに欠かせない〈ブチあがり曲〉はいくつかあったが、『QUILT』収録の”QUILT””CRAZY! CRAZY!””BPM”といった曲がそこに連なれば、爆発力は倍増するだろうと、そう思った。
とはいえ音源のミックスは整ったもので、CDまたはサブスクで聴いている限りでは、それらの曲にも洗練があった。ライブは違った。思った通り……ではなく、想像を遥かに超える爆発力を伴い、荒々しくラウドに、曲によっては音割れ寸前くらいに鳴り響いていた。
〈Rei Release Tour 2022 “QUILT”〉、そのファイナルとなる東京・EX THEATER ROPPONGI。それはインディーズでデビューした当時からReiのライブを観続けている自分も驚いてしまうほどに熱く激しい火の玉ロックライブで、音のラウドさは間違いなく過去一番。コロナ禍もあってずいぶん久しぶりのツアーである故、溜まっていたエネルギーの全てを放出したい、いつも以上に思い切ってブチあがりたい、観客を巻き込んで爆発したいといった思いがReiにあったのかもしれない。
Reiを含む4人でひとつのバンド
バックを務めたのは、TAIHEI(キーボード)、中西道彦(ベース)、澤村一平(ドラムス)。因みにツアーの京都、岡山公演のドラムスはCHAIのYUNA(ドラムス)だった。〈バックを務めたのは〉と書いたが、Reiとバックメンバーというふうではなく、Reiを含む4人でひとつのバンドのようだった。
いや、〈ようだった〉ではなく、完全にバンドだった。ライブ終盤でメンバーひとりひとりにReiが話を振ったとき、TAIHEIが「いいバンド! サポートする気持ちでやっている人がひとりもいない。すごくいいことだと思う」と言っていたが、つまりそういうこと。ライブ全編を通してReiが繰り返しメンバーたちの名前を叫んでいたのもその証左だ。