卓越したギタープレイとボーカルの魅力で知られるシンガーソングライター/ギタリストのReiさん。この連載〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉ではReiさんが〈今これしか聴いてない!〉というイチオシの音楽を紹介していますが、この第12回で、残念ながら最終回を迎えます。フィナーレにReiさんが選んだのは、自身の新作『QUILT』です。アルバムへの思いや制作背景を綴ったセルフライナーノーツとしても読めるテキストを、どうぞご堪能ください。そしてReiさん、1年間連載を執筆してくださってありがとうございました! *Mikiki編集部
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今月はこれしか聴いていない。わたしは音楽も、映画も、食べ物も、一度ハマると狂ったようにそれをリピートする癖があるようだ。みなさんも現実が息苦しい時ほど、すがるような気持ちで音楽を繰り返し聴く経験が少なからずあるのではなかろうか。
シンガーソングライター・ギタリストのReiです。当連載〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉ではわたしがついつい繰り返し聴いてしまう、個人的バズリ盤を紹介してきました。第12回、最終回となる今月はわたしが先日リリースしたコラボレーションアルバム『QUILT』をご紹介したいと思う。
今月はReiのコラボレーションアルバム『QUILT』をたくさん聴いた。
『QUILT』は4月13日にリリースした、わたしReiの最新作であり、これまで培ってきた音楽仲間との交友関係を作品として形にするプロジェクト。キルト生地のように、わたしという布と、コラボレーションアーティストという布の間に、柔らかくてあたたかい音楽を挟んで縫い合わせるように作った11曲。
Mikikiでも先日アルバムについてのインタビューをしていただいたので、そちらもぜひチェックしてほしい。
各所でアルバムについて深くお話ししてきたので、自分で書いている連載でどういった切り口でこの作品を紹介しようか、とても悩んだのが正直なところ。
まずは物語の経緯をお話ししよう。素晴らしいミュージシャンの方々に参加いただいたこの作品、及びプロジェクト『QUILT』は2021年10月よりスタート。細野晴臣さん、長岡亮介さん、藤原さくらちゃん、それぞれとのシングルリリースを経て、アルバムがリリースされた。その後はRyohuくんや東京ゲゲゲイとのコラボ曲のミュージックビデオも公開。
リリースに付随して、渡辺香津美さんと音楽誌「Player」で表紙を飾らせていただいたり、最強のバンドとのツアーも全国8カ所で開催。盛況の東京ファイナルにて幕を閉じた。
並んでいる名前を眺めているだけで幸せで満たされるようなアルバムであることは間違いない。作品のリリースやプロモーションの中で、これまでで一番、お客さんや音楽家の方に反響をいただいた。
制作の実作業に入ってから1年弱を要しており、リリースまでたどり着けるか不安と期待を行き来しながら今作は創られた。完成した時の達成感と多幸感はとんでもなく、今でもその余韻を味わいながら、活動している。
あくまでも作品レビューではなく、作った本人の感想にはなってしまうが、このアルバムは〈共生〉をテーマに作った。まず、“ぎゅ”のレコーディングの時に、歌詞の文末にバンドメンバーに向けて書いたト書きをシェアしようと思う。
誰かを抱きしめる。
手をつなぎ、話し、暮らし、愛し、合奏する。
人と関わることは生きている間しかできない。
「ぎゅ」それは、誰かを抱きしめる行為であると同時に、人と人が共生していることの象徴でもある。
生まれるときはもちろん、死ぬときは誰もがひとりだから。他者とのかかわりを持つことそのものが、生きている証拠なんだとも言える。
この“ぎゅ”のプロットを書いた際に、『QUILT』というアルバムのコンセプトが見えた気がした。そこから他の曲のメッセージを紡いでいったようにも思う。
人と生きることはとても難しいことだ。誰かを愛することはもっとむずかしい。相手を尊重したいがあまり自分を押し殺してしまうと、相手もそれを感じ取り、不健康な関係性になってしまう。かといって不躾に自分のエゴを相手に振りかざしているようでは、配慮に欠け、気持ちが良い関係を築くことができない。
制作を通じて、様々な年代や性別のすばらしいアーティストやミュージシャンとの関係を丁寧に測る体験をさせてもらった。わたしが関係を築いていく中で感じた〈もがき〉や〈喜び〉がドキュメントされたのが、このコラボレーションアルバム『QUILT』だと思う。
みなさんの中でこの作品が、長く繰り返し聴かれるものになることを祈って。不器用で取り柄のないわたしでも夢を描けた。人と繋がることができた。誰かにとってそれが少しの勇気になりますように。
それではこれにて〈REPEAT REPEAT!〉最終回。読んでくれてありがとう。
Mikikiのみなさん、ありがとう。
9月23日(金・祝)に東京LINE CUBE SHIBUYAでのライブを満員にすることがわたしの次の夢です。ぜひお越しください。
LIVE INFORMATION
Rei Reiny Friday -Rei & Friends- Vol. 14 “with QUILT friends”
2022年9月23日(金・祝)東京・渋谷 LINE CUBE SHIBUYA
開場/開演:17:00/18:00
チケット料金:6,000円(税込/全席指定)
プレオーダー:2022年6月3日(金)12:00~2022年6月8日(水)23:59
https://www.red-hot.ne.jp/play/detail.php?pid=py22686
■Band Member
Bass:ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)
Keyboards:渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)
Drums:澤村一平(SANABAGUN.)
主催:J-WAVE
お問い合わせ(HOT STUFF PROMOTION):03-5720-9999(平日12:00〜15:00)
RELEASE INFORMATION
リリース日:2022年4月13日
配信リンク:https://lnk.to/Rei_QUILT
■Limited Edition(SHM-CD+DVD)
品番:UCCJ-9238
価格:3,960円(税込)
■Standard Edition(SHM-CD)
品番:UCCJ-2205
価格:3,080円(税込)
TRACKLIST
1. QUILT with Ryohu and Friends(作詞:Ryohu, Rei/作曲:Rei)
2. CRAZY! CRAZY! with 東京ゲゲゲイ(作詞・作曲:Rei, MIKEY)
3. BPM with Cory Wong(作詞:Rei/作曲:Rei, Cory Wong, Ariel Posen)
4. CHOTTO CHOTTO with CHAI(作詞・作曲:Rei)
5. Don’t Mind Baby with 長岡亮介(作詞・作曲:Rei)
6. Smile! with 藤原さくら(作詞・作曲:Rei)
7. ぎゅ with 細野晴臣(作詞・作曲:Rei)
8. Stay Awake with 長岡亮介(作詞・作曲:Rei)
9. TAKE A BREAK with Cory Wong(作詞:Rei/作曲:Rei, Cory Wong)
10. 月とレター with 山崎まさよし(作詞:山崎将義/作曲:山崎将義、Rei)
11. CACTUS with 渡辺香津美(作曲:Rei)
Limited Edition DVD
MUSIC FILM #5 “WHITE CHAIRS”(監督:大久保拓朗)
PROFILE: Rei
卓越したギタープレイとボーカルをもつシンガーソングライター/ギタリスト。兵庫県伊丹市生まれ。幼少期を米NYで過ごし、4歳よりクラシックギターを始め、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作りはじめる。2015年、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデューサーに迎えファーストミニアルバム『BLU』をリリース。〈FUJI ROCK FESTIVAL〉〈SUMMER SONIC〉〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉〈ARABAKI ROCK FEST.〉〈SXSW〉〈Java Jazz Festival〉〈Les Eurockeennes〉〈Heineken Jazzaldia〉など国内外のフェスに多数出演。2017年、日本人ミュージシャンでは初となる〈TED NYC〉でライブを行う。2020年、専門学校モード学園(東京・大阪・名古屋)のCMソング“What Do You Want?”、SOIL&“PIMP”SESSIONSとのコラボ曲“Lonely Dance Club”を含むセカンドアルバム『HONEY』をリリース。2021年2月、ファーストアルバム『REI』のInternational Editionが米ヴァーヴ・フォアキャストより全世界配信。2021年10月よりコラボレーションプロジェクト〈QUILT〉を始動させ、これまでに3曲のデジタルシングル“Smile! with 藤原さくら”“Don’t Mind Baby with 長岡亮介”“ぎゅ with 細野晴臣”を発表。そして2022年4月13日、プロジェクトの集大成的アルバム『QUILT』をリリースした。