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コラム

Eve『廻人』2020年代のトップアーティストが生み出した、現時点での最高傑作

Eve『廻人』2020年代のトップアーティストが生み出した、現時点での最高傑作

瞬く間に音楽シーンの中心へと駆け上ったEveから、待望のメジャーサードアルバム『廻人』がリリースされる。彼を一躍、時の人へと押し上げた“廻廻奇譚”(TVアニメ「呪術廻戦」第1クールオープニングテーマ)、“蒼のワルツ”(アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」主題歌)などタイアップを含む全14曲が収録された意欲作だ。

Eve 『廻人』 トイズファクトリー(2022)

YouTubeチャンネルの登録者数が370万人を超え、総再生回数は15億回を突破するなど、名実ともに日本を代表するアーティストに成長を遂げたEve。もはや2020年代を代表する新時代のアーティストと言っても過言ではないだろう。

その確固たる理由は、今回のアルバム『廻人』からもひしひしと伝わってくる。言うまでもなく2020年代に突入したこの2年間は、コロナ禍という未曾有の事態。特に音楽業界は大きな打撃を受け、リリースの延期やライブが困難な状況にも陥った。しかし、このアルバムに収録される14曲は、Eveがそんな中でも歩みを止めることなく制作し、言葉を紡ぎ、生み出された楽曲ばかり。14曲中12曲がタイアップソングだったことから見ても、彼がいかに現在の音楽シーンから求められていたことが理解できるだろう。

Eveの魅力はなんといっても、その類まれなソングライティング能力。BUMP OF CHICKENやRADWINPSといった日本のバンドシーンをルーツに持つ彼が生み出すサウンドは、キャッチーかつポップながらもしっかりと〈Eve色〉に昇華され、〈陰と陽〉という人間が持つ二つの側面を文学的なリリック、そしてサウンドからも感じることができるのだ。今作『廻人』はその技術に磨きかかり、より大衆にフィットする楽曲が多いと感じる。

Eveを語る上で欠かせないのはやはり、2曲目に収録されるTVアニメ「呪術廻戦」第1クールオープニングテーマとなった“廻廻奇譚”だろう。きっとこの楽曲は多くの人が耳にし、〈Eveとはこういうアーティストだ〉と世間に認知させた楽曲であるはず。ストリーミングサービス、YouTubeでのミュージックビデオはともに2億回再生、2021年に海外におけるSpotifyで最も再生された楽曲となったことからも、彼の活躍が一過性でなかったことを物語っているが、この楽曲の魅力を今一度確認して欲しい。アニメの世界観にマッチしているのはもちろんではあるが、イントロから彼の才能が爆発しているように思う。疾走感のあるバンドアンサンブル、そして矢継ぎ早に吐き出される言葉の羅列。印象的なサビ〈闇を祓って闇を祓って/夜の帳が下りたら合図だ〉での力強い高音の伸び。4分にも満たない楽曲ながらもその中身は濃密で、聴き終わってからも興奮が冷めない現象に陥ることが出来るのだ。

また、8曲目に収録される“蒼のワルツ”も、物語性に富んだ楽曲でEveの魅力が詰まっている。アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」主題歌であるこの曲は、メロディアスな旋律と低音と高音を見事に使い分けた歌声が特徴的。ラストに向かっていく過程で徐々に開けていく曲の展開も含めて、〈ここまで希望を見出す歌を歌うことが出来るのか〉と感動を覚えてしまう。〈生きること〉にフォーカスされたリリックは全体を通しても感じるものだが、個人的には〈犯してきた過ちも/その後悔さえも/かけがえのないものだから〉というフレーズからは特に〈生きることの難しさ、生きることへの希望〉を感じることが出来るのだ。

そしてノンタイアップの曲から紹介したいのが、3曲目の“夜は仄か”。月並みな言葉になってしまうが、この曲は単純に〈ヤバい〉。地を這うようなシンセベースの音色から缶ジュースを開けたような効果音が入り、そこからグルーヴィーなサウンドが心地よい4つ打ちで鳴り響く。楽曲はそのままミニマルなビートで進んでいくかと思いきや、サビでは一気に広がりのあるサウンドへ展開していくのだ。この楽曲はリリックも秀逸。先述した〈陰と陽〉の絶妙なバランスで紡ぎ出された言葉からは、この混沌した世の中で生活をしていく中で感じたことが反映されているようにも思える。何度も聴くことでEveが誘う世界観へと引き込まれていく、そんな不思議な楽曲と言えるだろう。

その他にもアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」の挿入歌である“心海”やロッテガーナチョコレート「Gift」テーマソング“平行線”、スマホゲーム「プロジェクトセカイカラフルステージ! feat.初音ミク」アニバーサリーソング“群青讃歌”など、彼の直近の活躍が垣間見られる楽曲を味わえるのも本作の魅力。2020年代のトップアーティストとして歩み続けるEveが生み出した、現時点での最高傑作と言っても差し支えのない強度ある待望のメジャーサードアルバムだ。

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