前作『おとぎ』のヒットで勢いづくシンガー・ソングライターの新作は、だからと言って浮つくことは一切なく、人生の焦燥や違和感、そしてその先にある希望を繊細に表現した作品に。大きく変化したのは電子音を大幅に取り入れたサウンド面。恋のときめきを春めいたポップスで彩る新境地“心予報”にしても、歌詞に引っ掛かりのあるワードを忍ばせるシニカルさは健在だし、彼の〈スマイル〉が単純なものではないことは明白だ。