大ヒットOVAシリーズ生誕35周年記念!
あのときの興奮をよみがえらせる豪華箱が登場

VARIOUS ARTISTS 『バブルガムクライシス35th BOX』 ユニバーサル(2022)

 君は「バブルガムクライシス」を知っているか?

 第2次関東大震災の発生によって大きく様変わりしたメガロシティ東京で、凶悪犯罪に立ち向かう必殺仕置人〈ナイトセイバーズ〉の活躍を描いたOVAシリーズで、87年から91年にかけて計8本も制作されるほどのヒット作となった。うら若き美女集団、ナイトセイバーズが着用したハードスーツと呼ばれる戦闘用コスチュームがやたらと艶めかしかったことや、彼女たちの爽快なまでの脱ぎっぷりの良さが人気を集めた要因だと語られているが、「ブレード・ランナー」「ターミネーター」「ストリート・オブ・ファイヤー」「必殺仕事人」などのエッセンスをよくばりに和えたヴァラエティーに富んだ構成をはじめ、レイト80年代ならではのイケイケ感がいたるところで顔を出すのも特徴のひとつで、昨今のアニメ作品ではめったにお目にかかれない熱量を体感することができる。そんな〈バブクラ〉の第1作が作られてから35周年という今年、「バブルガムクライシス35th BOX」なる巨大なブツが到着した。

 10枚のディスクで構成された本ボックス、まず2枚のBlu-rayには2002年リリース「バブルガムクライシスDVD Collection BOX」を完全収録しており、ナイトセイバーズの華麗なる戦いぶりを余すことなく鑑賞することができる。残りは、本アニメの人気を支えたもうひとつの主役である音楽を総ざらいしたCD8枚だ(最新リマスタリングを施したサントラ8作品を高音質CD=MQA-CDで復刻)。筆頭格となる1曲というと、第1作の主題歌“今夜はハリケーン”になるだろう。プリス役の声優を務めた大森絹子(荻野目洋子も在籍した小学生女子3人組ユニット、元ミルクのクミ)がダイアン・レインも顔負けなロック・クイーンぶりをアピールするこのアップ・チューン。大映テレビドラマのタイトルバックにもピッタリハマりそうな、突き抜ける疾走感がたまらなくテイスティー。OVAのサントラといったらラグジュアリーなポップスの宝庫と相場が決まっているが、ご多分に漏れず、“傷だらけのWild”というクリアテイストな名曲が控えている。ほかにもB.B.クィーンズのメンバーとして知られる坪倉唯子がうたったAOR調バラード“TWILIGHT”など聴きものが多く、盤をとっかえひっかえしながら楽しい夜ふかしができそうだ(なお全8タイトルは重量盤アナログ・レコードでも復刻されるということなのでこちらもお見逃しなく)。

 気づいたら、物語の舞台となった2032年まであと10年じゃないか。そう考えたら妙にドキドキし始めた。いまはとにかくナイトセイバーズがカッコよく飛び回る未来を夢想しつつ、めくるめくバブクラワールドに浸りたい。