バブル時代の空気感が甦る! ホイチョイ・ムービー第2作が遂にブルーレイ化!
貧困化が深刻化する現在を思うと、映し出される世界が同じ日本なのかと目眩がする。公開当時中学一年の拙者でも(ブラウン管から感じとれた)あの当時の空気感が甦ってくるのだから、リアルタイム世代には感慨深いものがあるに違いない。バブル時代の申し子=ホイチョイ・ムービー3部作の2作目である本作が、公開から実に33年の月日を経て遂にブルーレイ化である。
3部作では、「私をスキーに連れてって」(87年)、「波の数だけ抱きしめて」(91年)を繋ぐ89年に公開された本作。主演は、前作に続いて原田知世。相手役は、デビューして間もない〈カンチ〉以前の織田裕二だ。海底に沈んだ財宝をめぐる冒険アクションとOLダイバーと週末ヨット乗りの恋を軽快に描く本作。平日はサラリーマン、休日や有給を使ってマリンスポーツや船上パーティーを楽しむ登場人物たちのお金と時間的余裕がまずは眩しい。ただ、恋愛に関しては、バブルどっぷりな役柄は常に〈友人〉(本作では伊藤かずえだ)にあてがわれ、主人公カップルは初心な設定とするあたりが巧みである。私のような人間でも、ちょっと背伸びをしてスキューバをすれば原田知世に会えるかもしれないと思わせる案配なのだ。そんな〈幻想〉を補強すべくサザンオールスターズの名曲とスキューバの美しい海洋シーンが投下されるという仕組みである。
ホイチョイ・ムービーの革新性は、当時人気の出始めたスキーやマリンスポーツを潔いまでに映画=広告として売ったところにある。また、映画に映るあらゆるものの企業タイアップを図った点(船名自体が某ビール会社だったりします)や、90年代の〈トレンディ・ドラマ〉の原型を作った点も付け加えておくべきだろう。
「今から考えれば信じられないようなあの時代」(馬場康夫)を追体験しつつ、2022年世界陸上のメインキャスターを務めた現在と風貌の変わらない織田裕二をご確認いただけたらと思う。