人の声とエレクトロニクスの融合により新しい音世界を生み出した。1978年生まれのエストニアの作曲家クリグルの作品は暗く深い瞑想を感じさせつつ、突き刺さるような衝撃を随所に与える。“水は”と“液体は変化する”は、エレクトロニクスによる地が振動する低音や衝撃の高音が声と融合し開始され、聴いたことのない浮遊するサウンドが展開される。エストニア作品の王道の合唱と弦楽による編成の“湖は荒れ始めた”は打ち寄せる波が次第に形になり押し寄せる様が弦の特殊奏法と合唱で描かれる。アカペラの“だが、常に上を向け”は合唱団の実力が発揮される。切れ目のない持続音と完璧な音程に驚かされる。