世界中のインディー・ロック・ファンから絶大な支持を得ているトロントの5人組ドリーム・ポップ・バンド。5年ぶりのサード・アルバムは、アラバマ・シェイクスやケイシー・マスグレイヴスらの仕事で知られるショーン・エヴェレットがプロデュースとエンジニアリングを務めた意欲作だ。曲によっては80s風のチープなシンセを巧みに使って新味を取り入れつつ、今作もシューゲイザーやネオアコから影響を受けたドリーミーで甘酸っぱいギター・ポップが十二分に楽しめる。一方で個々の音の輪郭がはっきりした音像が印象的で、演奏もヴォーカルも過去作に比べて力強く、アルバム全体に芯の強さが感じられる。つまりは彼ららしい〈蒼さ〉を保ちつつ、音楽家としての成長も成し遂げた快作。