曽我部恵一によるアンビエント――と表すだけでは、莫大なディスコグラフィーを抱えた音楽家の一側面として意外性はないかもしれないが、コロナ療養中に作られた作品となればやや違って響きやしないか。夢うつつの状態を音像化したかのようなドローンに、ギターやメロディカが溶けていく様は、かつて見た風景と空想した世界の境目を曖昧にしていく。パンデミックの時代のサイケ、かつリアルなダイアリー。