クセナキス生誕100年を迎えた今年、サントリーホールで画期的な演奏会が催され、聴衆を取り囲むように配置された楽器、スピーカー群が作曲家が考案した音響設計を実現した。パーカッションアンサブル、上野信一&フォニックス・リフレクションの本作はペルセファッサ/プレイアデスの二作品を従来のステレオ空間で再現するものだが、コンサートでは聴き逃してしまう、幅広い周波数帯域に分布する音の粒子がクリアに捉えられ別次元で作家の設計したポリリズムを再現する。〈周期性、反復、再生、コピー、正確性、擬似正確性〉から発生するポリリズムは、ライヒのフェイジングや菊地成孔のポリBPMまで呑み込んで都市のリズムを再現する。