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創作への自由なスタンス

 アルバム序盤は、現在のクレナズムの創作に対しての自由なスタンスが伝わってくるコラボレーション楽曲が並んでいて、“二人の答え”には前作に収録されていた“解けない駆け引き”に続いてラッパーのクボタカイが参加し、編曲にはずっと真夜中でいいのに。や和ぬかの楽曲にも関わる100回嘔吐が参加。ニューウェイヴ風の“明日には振り向いてよ”は、J-Popのシーンで活躍する若田部誠が編曲している。

 「“二人の答え”はコンペ形式で作った曲で、テーマが〈“解けない駆け引き”の続編〉だったんです。前回は〈最終的に主人公の2人はどうなったの?〉っていう、ちょっと曖昧なまま終わる物語だったので、〈今回で決着を付けよう〉って(笑)。編曲に関しては、〈ロマンチックだけど切なくて、でも最終的には多幸感溢れる感じにしてください〉ってお願いしたら、素晴らしいアレンジが返ってきました。歌に関しても自分だったら絶対しない譜割りを提案してくださったり、いろんな発見がありました」(萌映)。

 「若田部さん自身にアレンジしたい曲を選んでもらったんです。若田部さんのイメージは80年代のちょっとレトロな感じだったみたいで、クレナズムとしては珍しい曲になりましたね。MVでもダンサーの方たちに踊ってもらったり、新しい一面を見せる一曲になったと思います」(けんじろう)。

 打ち込みを基調とした“明日には振り向いてよ”から一転、“進め。”はタイトル通りに勢いのあるアンサンブルを鳴らし、前向きな歌詞が遂にファースト・アルバムを完成させた現在の4人の心情ともリンクするかのよう。続く“さまよう”ではシューゲイザー・バンドとしてのさらなる進化を提示してみせる。

 「“進め。”はもともと就活応援ソングとして書かれたもので。これまではわりとネガティヴな歌詞が多くて、応援歌は初めてだったんですけど、だからこそすんなり書けたというか、今まで書いてなかったから、振り切って書くことができました」(萌映)。

 「“さまよう”は最初もっと平坦なビートだったんですけど、ファンキーな跳ねるビートにしたら雰囲気が新しくなった。ギターのフレーズはダサかっこいい感じにしたかったんですけど、このフレーズが自分のなかで印象的すぎて、一回アルバムから外したほうがいいんじゃないかとさえ思って(笑)。でも〈アルバムの中だからこそ映える〉と言ってもらえて、収録することにしました」(けんじろう)。