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6が1になって動かなきゃいけない

――豊洲PIT以降、環境も心境も変わってきましたか。

「大分変わったと思います。去年の11月にZepp DiverCity(TOKYO)でワンマンがあって、次の豊洲に向けてリリースとかがあったんですけど、そこでメンバー全員が〈誰も信じないぞ〉となった時があって」

――まわりの大人が信じられなくなった。

「それで迷惑もかけてしまったと思います。

逆に、自由だと思っちゃうメンバーもいて、早桜優雨からしたらそれはどうなのって思う行動も見えるようになってきて。でも、新しくマネージャーになったばかりの人は強く言えないじゃないですか。言ったところで響くわけもないし。そこで早桜が悩んじゃったりしていたのかなと思います」

――チームとしても、グループとしても少しバラバラになってしまった。

「一瞬そうなりかけました。外から見たら変わりなかったかもしれないですけど、“あみだ☆ふぉーちゅーん”(2022年)のリリイベは探り探りな感じがありました。早桜はまとめるのが結構大変だったんじゃないかな?

いまは全国ツアーで課題が山のように出てきたんですけど、それにはグループの6が1になって動かなきゃいけないじゃないですか。それもあって、またひとつにまとまってきたんじゃないかなと思います」

――6人になって上向いたという話は出てきますが、紆余曲折があったわけですね。

「ずっと仲はいいと思うけど、仲がいいってこういうことなのかなとも思うんですよ。プライベートでも遊びに行くということであれば、うちらはそれがないので。お仕事のあとにお腹が空いてたらみんなでご飯食べるとかはよくあるんですけど、そもそも休みがあんまりないので、休みの日にわざわざ会おうと思わないのかも」

――見ていて仲がいいなとは思います。

「移動中は同期で2人ずつ一緒にいることが多くて、私は早桜とよくいるんですけど、2人ともあまりきゃっきゃするタイプじゃないんですよね(笑)。仕事という意識があってやれているから、仲よくできているんだと思います。早桜優雨はそれが一番居心地いいんです。

クマリはそこが乱れるのはイヤだなと思っているんですけど、今はいいバランスだと思っています」

 

基礎練をしてからダンスが揃うようになったんです

――ツアーの手応えはどうですか。

「今はライブがいい感じにできているとは思います。でも、ツアーが始まって最初の週かな? 一度、心が折れて。早桜も話したかもしれないんですけど、楽しい/楽しくないがわからなくなっちゃったんです。どこか乗り切れてないライブをしちゃった時がありました」

――それは新曲が掴みきれていなかったからですか。

「ですね。私たちはいいと思ってやっているわけで、それが伝えきれてないということだったと思います。

それがひとつと、そのあたりでサクライさんと面談する機会があって。そこで今後の自分がどうしていきたいかと結構喋ったんですね。武道館が決まってるけど、その上でどうしていきたいかを話したり。

あとは基礎練が始まって、毎回、自分のできないところにしか目がいかなくなっちゃって。その時期はつらかったですね」

――このタイミングで改めて基礎練が必要だということになったんですね。

「クマリは昔から振り付けを教えてくれるんですけど、ダンスのレッスンをあまりしたことがなくて。ずっとしなきゃいけなかったんですけど、やっとタイミングがあって、やれるようになったんです」

――そこはやればできるようになっていくことだから、悩みとしてはポジティブな気がします。

「はい。基礎練をしてからライブをしたらダンスが揃うようになったんです。(コレオグラファーの)いどみんさんにもそう言っていただけて、それは意味があったし、よかったと思っています」

 

今は冷静にならないで突っ走った方がいいのかもしれない

――では、サクライさんと話した今後のことというのは?

「みんなは好きでアイドルになったんですけど、私は声をかけてもらってアイドルになったので、最初のワンマンの時から夢を持ってやってきたわけではないんですよね。

だからいつも、サクライさんやマネージャーさんたちが用意してくれた目標に……夢というより目標ですね。目標に向かって走るという方法でずっとやってきたので、中野サンプラザや武道館でやります、と言われたときの感動の仕方が多分ちょっと違うのかなと思ったりして」

――一歩ずつ夢を叶えていった先にある大きな場所ということでもない。

「うーん、クマリデパートとしてやれている今は楽しいんですけど、武道館の実感が早桜優雨だけずっと湧いてないんですよ。やるからにはイメージできないといけないのもわかっているんですけど、本当にわからない。1万人と言われてもパッと想像がつかない。ちゃんと考えなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことがたくさんある。

でも、ひとりで考えた時に……どうしても、(目に涙を浮かべながら)……終わりの時を考えてしまうんです」

――そうなんですね。

「一度、大学卒業くらいのタイミングで辞めるか辞めないかを考えていて。今がその第二段階くらいなんです。私は運がいいんですよ。自分は運だけでやれてきていると思っているので、冷静に考えたときに、このままで本当にいいのかなと思っちゃうんです。だから今はあまり冷静にならないで突っ走った方がいいのかもしれないです」

――意志があってこの活動を続けてきたというより、流れに乗ってひたすら目の前のことをやってきたから、立ち止まった時に先のことを考えたんですね。

「そうです。以前、サクライさんに辞めたいと言った時も、何月までやったら、もう一度話そうと言ってもらえたのに、その相談もないままリリイベとかが決まっていって。ワンマンも決まったし、この人、私の話忘れたなと思いました(笑)。

でも、リリイベ、ワンマン、ツアーと決まっていくとやる気が出るじゃないですか。作ってもらえた仕事の波に乗らせてもらっているから、その中でやるべきことが毎日あるし、今年の夏もすごく忙しくさせてもらったので、一度そういう考えは全部吹っ飛んでいたんです。

夏が過ぎて、一瞬落ち着いたタイミングで自分個人のことを考えたら、(涙を流しながら)色々と……。クマリデパートの曲が好きだから、4期を入れて続いていったらいいのになって思ったりして」